もっといい自分1 ページ2
｢……やば｣
とりっぴぃは愕然とした。昨日は残業なしに家に帰れた。20:00からの生放送まで時間があったから、仮眠をとるつもりで布団に入って────普通に寝た。
｢もう朝じゃん！やーばい、リスナーさん怒ってるだろうなぁ……｣
通知は見ずに、謝罪のツイートだけして会社へ向かう支度を整える。
電車の中で、スマホを確認する。多少の文句は覚悟の上、通知欄に目を通す。
｢ん？｣
『おはっぴぃ！寝ぼけてるの？』
『どうした笑笑笑』
『生放送おつでした！ドン勝おめ！』
昨日、俺放送したっけ。とりっぴぃは首をかしげた。ユーザーページを確認すると、確かに放送履歴に昨日の日づけのものがある。
記憶はないが、リスナーとの約束は反故にせずすんだようだ。
ラッキー、そう思いつつ『ごめんミスった！』と呟いておく。
電車はちょうど、会社の最寄り駅に到着した。
【もっといい自分】
仕事をはじめる準備をしていると、後輩が話しかけてきた。
｢先輩！その……昨日はありがとうございました！｣
ぺこりと頭をさげる後輩に、嫌な予感がする。
｢ほら、残業手伝ってくれたじゃないですか！助かりましたよ｣
｢残業……？｣
昨日は残業をしていない。家にまっすぐ帰ったはずだ。しかし、後輩が嘘をつくとは思えなかった。
｢あ、そろそろ始業時間ですしご迷惑ですよね！では｣
去っていく後輩を、とりっぴぃは
もやもやとした気持ちで見送った。
｢ははは、そりゃあおかしな話やな！自分のやってないはずの行動がやったはずになっとる、ちゅうことやろ？｣
｢とりっぴぃ頭でもぶつけたか？ありえんだろJK｣
こんなこと言うんじゃなかった。げらげらと笑うなな湖と愛の戦士を前に、とりっぴぃは後悔した。
｢えーと、覚えのない生放送と残業やっけ。生放送は夢遊病の類で、残業は後輩が別の人と勘違いしとるんちゃう？｣
｢いや、勘違いではないと思う。今の職場で後輩が『先輩』って呼ぶの、俺だけなんだよね……他の人は役職で呼んでるから｣
｢それはおかしいな。まあ、直接的に手伝ってなくとも無意識に助言いってた……とかやないの｣
｢それなら納得できるけど……愛ゴリはどう思う？｣
｢とりっぴぃは平社員最年長の無能ってことは分かった｣
｢うっさいわ！｣
ばしばしと愛の戦士の肩を叩きつつ思う。なな湖さんの説明で辻褄はあうし、大して気にすることでもないんじゃないか、と。
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猫 - こういう話大好きなので楽しませてもらいました！ (2019年6月8日 0時) (
レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 連合さん» 違いますよ笑 登場人物も話も私のオリジナルではないので……でも褒めてくれてありがとう (2018年11月16日 21時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - 毎回思うんですが天才ですか？？？ (2018年11月11日 21時) (レス) id: bbfe7f8fa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 326さん» 意見ありがとうございます、こなくて泣いてました。他にコメントがなければその方針でいこうかと思います。あの、違ったら申し訳ないのですが、ロック伝説の方だったりします？ (2018年10月27日 22時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
326 - 死ネタはネタバレになるのでキャプションに書いてほしいです…楽しみに見てます… (2018年10月27日 21時) (レス) id: c19ba7aeed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミカケヒトシ | 作成日時：2018年8月5日 17時
