9 ページ9
「無いとは思うけど一様確認だけということでね。１人の生徒を贔屓するのも良くないですし」
職員室に戻ると、案内されたのは校長室。
校長に教頭に学年主任が勢揃い。
「噂は聞きました。あのカフェは俺の幼馴染みの店です。山田は元々常連でした。ただ俺も同じ学校の教師となったからにはもっと気を付けるべきでした。お騒がせしてすみません」
「聞いた話と合ってますね。問題ないようです」
「でも、伊野尾先生本当に山田くんとは何もないんですか？帰りも送るのを見たことあります」
また空気が冷たく変わる。
「何もないですよ。それに僕、校長先生から頂いたお話お受けしようと思ってたとこですから」
「おお！本当かね！良かった！姪っ子がどうしてもと言うもんだから！お見合いをね、お願いしてたんだよ！」
「まぁ、そうだったんですか！これはとんだ失礼な発言をしました」
ほら、空気が戻った。
だいちゃん、これで俺も山田も大丈夫。
この話をもらってて良かった。
気分がいい校長は瞬く間に話を広めた。
生徒にまで届くのに時間はかからなかった。
「伊野尾先生校長の娘と見合いするって本当ですかー？」
「なんで知ってるの？ちなみに姪っ子さんね」
「えーー！じゃあ私としてほしかった！」
「ほら、授業に関係ない話はもう終わり」
生徒が騒がしいのも３日だけ。
山田との噂話もすぐに消えた。
帰りのHRがもうすぐ始まる頃
担任を待つ俺と生徒たちは少しの談笑タイム。
「山田も散々だよな、変な噂立てられて」
「だって、私３回くらい見たんだもん。楽しそうに話してたし。でも違うならまた私頑張っちゃお」
学年で１番可愛いと
言われてる女の子が山田に引っ付いた。
でも、その子の表情とはうってかわって
山田はとても冷たく、その子を見た。
「お前？あの噂流したの」
「あ、いや、流したわけじゃ…」
「離れてくんない？」
「あ、ごめん」
山田は教卓にいた俺を見ると
「先生も大変でしたよね。ごめんなさい。俺たちガキの面倒に巻き込んじゃって」
と、笑った。
「そうだよ！先生が１番可哀相だよな！お見合いも決まってんのに」
みんなが笑って雰囲気が戻る。
ちょうど担任もきて、終わりの挨拶を始めた。
先生って呼ぶことも、敬語を使われることも
自分が散々山田に言っていたことだ。
あんなに気にしていた山田が自分のことを
ガキといった。
それだけなのに…
山田は今までこんなに胸が痛いのを
我慢してたのかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨のち雨(プロフ) - こここここさん» 嬉しいコメントありがとうございます(*^^*)！短編１話だけですが、あげさせていただきました！ (4月7日 12時) (
レス) id: f308a3c4d4 (このIDを非表示/違反報告)
こここここ(プロフ) - こんにちは。このお話大好きです。幸せになってからの二人のその後も読んでみたいです。 (4月7日 7時) (レス) @page14 id: 60de11d6bd (このIDを非表示/違反報告)
雨のち雨(プロフ) - inunekoさん» コメントありがとうございます！そう思っていただけたなら嬉しいです(*^^*)最後までお付き合いくださりありがとうございました！ (3月29日 7時) (レス) id: f308a3c4d4 (このIDを非表示/違反報告)
inuneko(プロフ) - 終わり方素敵すぎます…！2人とも可愛すぎる〜 (3月29日 0時) (レス) @page14 id: 9eb63571d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨のち雨 | 作成日時：2024年3月3日 23時
