短編ymin (ページ7)

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「最近いのちゃん素直になったよね。どこ行きたいとか、何したいとか涼介にちゃんと言うようになったじゃん」

知念の言う通り、最近伊野尾ちゃんは
やりたいことやしてほしいことを
きちんと素直に伝えてくる。

昔と比べれば大きな成長だ。

付き合いたての頃なんて、
行きたい場所やしたいことは、
全部薮くんと光くんが俺に言ってきてたもんな。

「伊野尾が、動物園に涼介と行きたいみたいだから、さりげなく誘ってやってくんない？」

「あ、山田。いのちゃんが山田とお揃いのパジャマほしいみたいなんだけど。」

ご飯食べに行くときに緊張するからって
３回に1回はやぶひかも来てたのはきつかったな。

今はもうさすがにそんなこともないけど。

「そうだね、昔と比べたらめちゃめちゃ言うようになったよ。むしろ……」

「わがまま娘に磨きかかった感じだね」

「ははは。否定できない」

やぶひかが甘やかすうえに、
俺も甘やかしちゃうから……。

「でも涼介さ、昔より、今のわがままに振り回されてるほうが楽しそうだよ」

そうなんだよ。知念の言う通りなんだよなぁ。

昔は照れる伊野尾ちゃんをいかに
真っ赤にさせれるかっていうS心が
動いてたはずなんだけど。

「やまちゃん！楽しみだね！」

はやく行きたいなぁっていつの間にか
目の前に戻ってきてた伊野尾ちゃん。

あぁもう、そんなニコニコしちゃって。
嬉しさが全面に出てるよ。

わがままを聞くと嬉しそうに笑うから、
その顔が見たくってついつい
なんでもきいちゃうんだ。

いつのまにかわがまま娘の思いのままに
俺は動いてしまうようになったみたいだ。

まぁでも、それを幸せに感じてしまうのだから
もうどうしようもない。

End