短編ymin (ページ6)

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わがまま娘にほだされてページ6

「やーまーちゃんっ！！！」

ぐっ…お、重い、背中が重いっ！

「いのちゃん、涼介の息止まりそう」

へへ、ごめ～んって
まったく気持ちのこもってない
謝罪が俺の背中から聞こえる。

音楽番組出演の待ち時間、
ソファーでうつ伏せで寝ていた俺に
突如のし掛かってきた彼女。男だけど彼女。

付き合ってもうまる２年。
最初の頃なんて恥ずかしがりすぎて
楽屋で俺が話しかけようとするだけで
逃げていたのに。

「ねぇ、やまちゃん！薮と光イルミネーション見に行ったんだって！俺も行きたい！！行こう？！」

分かった。行く、行くよ。行くから
まずは背中から降りてくれ。
返事をしようにも声が出せないよ俺。

「ちょっと、やまちゃん聞いてる？」

「背中から降りないと涼介しゃべれないって」

あぁ、ごめんごめんっとやっと
俺の背中が軽くなった。
肺にこれでもかと息を吸い込む。

知念が近くにいてよかったよ…。
神様に見えたよ。

「で、行く？イルミネーション！やまちゃんも行きたいでしょ？」

「あぁ、うん。行こっか。場所分かるの？」

「うん！薮に住所送ってもらった！！」

「明後日の仕事終わり行く？それか来週の……」

「今日がいい！！明日仕事午後からじゃん！ね？お願い！今日行こうよ～」

「まぁ、今日でも大丈夫だけど。じゃあ、これ終わったらイルミネーションね」

うん！ありがとう！！って元気にお礼を言うと
すぐ俺の前から消えた伊野尾ちゃん。

「薮！光！今日連れてってくれるって！！」

向こうで、薮ちゃんと光くんに報告してる。
おぉ、そっか、よかったな。暖かくしてけよ。
っていう保護者の声も俺にまで聞こえてる。

チラッとその３人に視線を向ける、
もう父母娘にしか見えなくなってきた。