短編ymin (ページ14)

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「なに？」

「昨日は、ごめんなさい。」

「いいよ、気にしなくて。俺が少しおせっかいだったんだよ。謝ることないよ。」

先生はこっちに少し目線を向けて微笑んだ。

「でも、俺、先生のこと何も知らないのに、ひどいこと言った…っ」

「俺のこと？」

「ピアノ…できなくなるの、つらかったでしょ？」

「なんで知ってるの？」

「知念の、いとこが幼なじみだって」

あぁ、そうか、そこからね。そう言うと
そっと俺の頬に手を振れて、

「なんで山田が泣くのさ」

と、目から落ちた涙を拭ってくれた。

「別にピアノが弾けなくなった訳じゃないんだよ。ただ留学したり、プロになるのが難しいってだけでさ。でも当時はやっぱりつらかったから、山田には無理してほしくなかったんだ。」

「うんっ…ぐすっ。ごめん、なさい。」

ねぇ、山田と優しく先生が微笑んだ。

「もし俺が、あのまま留学して、ピアノの道に進んでたら、毎日バカみたいに俺なんかに告白してくれる素敵な人とは出会わなかったと思うんだ。」

へ？バカは俺？素敵な人？

「あ、涙とまったね。」

頭の中がパニックで何も話せずに
ただ先生を見つめてた。

「山田は学生で俺は先生だから、本当はこんなこと言っちゃだめなんだろうけど…。」