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大きな海に大きな空。
絶対、ここに来たかった。
たろちゃんは海が好きで
私はあまり好きじゃない。
夏は暑いし
冬は寒いし
ベタベタするし
でも最後、
ちゃんとたろちゃんの好きな海をみておきたかった。
ちゃんと知りたかった。
好きな人の好きなもの。
帰りの時間もあるから
時間は少ししかない。
『海とか何年ぶりだろ』
2人で並んで座って
海を眺める。
それだけなのに胸がギュッと締め付けられた。
端っこなんてない真っ直ぐどこまでも続いている
その奥の果てはどうはどうなっているのか。
入院中
命が途絶えたら人は
空に、雲の上に、行くのかな？
子供の頃そんなことを考えていたことを思い出した。
私は空、
たろちゃんは海、
海って空から1番距離遠くない？
海に潜るたろはどんどん私から
遠ざかっていくんだ。
だったら…
『どうせだったら海になりたいな』
「なんねーわ」
『たろちゃんたくさん会いにきてくれるね』
「なんねーって」
『私の骨ちょっとで良いから海に投げて』
「A！怒るよ」
少しでもたろちゃんの近くにいたいんだ。
海の底にいれば
きっと大丈夫。
海にたろちゃんが会いに来てくれる。
やだ…
泣きそう。
砂浜の私とたろちゃんの並んだ足跡を
みていたけど、涙が溢れる前に顔を上げた。
太陽に照らされた海が綺麗に
ダイヤモンドみたいに光っている。
海の隣には空があった。
海上には空って言った方が確かもしれない。
でも確かに目の前にある景色は
海と空は隣り合わせ
絵で描いてもそう書くでしょ？
一瞬だけ水平線が光って
海と空の境界線がなくなった。
こうやって"海と空"遠く離れていても
たまに繋がる時間があるなら
空も悪くないな。
海だとたろちゃん来てくれないと会えないけど
空だといつでもどこでも見守れるもんね。
「やっぱ海ってきれいだね」
光に反射して再び水平線が光った
いつか、わたしとたろちゃんを繋げる
その光を今2人で目に焼き付けて
あなたはそれを綺麗と言った。
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作者名：唯音
| 作成日時：2023年2月15日 20時
