最大級のラブレター (ページ35)

今日:30 hit、昨日:56 hit、合計:115,873 hit

35 ページ35

・

次の日またAの病室へ向かった。

しまっていた扉をノックすると声が聞こえた。

『たろちゃん』

「うん」

Aママ「じゃ！ママは帰ろうかな！」

「もう帰るの？」

『そーだよ！来たばっかじゃん』

Aママ「することがあるから！」

気をきかけてくれたのかママはすぐ帰って行った。

『こないでって言ったじゃん』

「くるよ」

『迷惑かけたくない。別れたんだよ？いいよ来なくて』

「関係ないよ」

『彼女じゃないからそんな大切にしないで』

「なにそれ」

『たろ…お願い…』

「そのお願いは聞けなぁ」

ベッドの隣にある椅子に腰掛けると

椅子と床が擦り合う音が鳴った。

彼女と目が合えば
強い眼差しでこっちを見る。

「Aは大切な幼馴染で好きな子だと
　言うことは何も変わらないよ」

「彼女だからとかそんなの関係ない」

「会いたいから会いにきたんだよ。」

「あの時と変わらない」

「隣の家にAがいたら隣の家にいくし」

「公園にいたら公園に行く」

「ここにいるからここに来る」

「会いたいってそれだけなんだよ」

一回も息をしないで
吐き出すように思ったことを全部言葉にする。

自分がこんなこと言うタイプじゃないことなんてわかってる。

言葉にしなくてもAならわかってくれるって
今まで言葉にしてこなかった。

でも今のAは言葉にしないと何も伝わらないから。

泣きながら彼女はひとつひとつ言葉を紡いでいった。

全部、ちゃんと受け止めるよ。

教えてよ。全部思ってること。

・