７人目は、元ヤンガール

第４３話 ページ44

さとみside

俺は見てしまった。

くるみが学生を蹴り飛ばしてるところを。


元ヤンだとは聞いてたが、

ヤンキー抗争区域を統一したとは聞いてたが、

バカ強いとは聞いてたが、

人の心がないなとは思ってたが、


まさかあそこまで残虐に学生を蹴るとは思ってなかった…

なんの躊躇いもなく蹴りを入れ込んでったぞ。

マジかよ、アイツ…

多分、法律なんてなかったら気に食わない連中は全員殺すだろうな、アイツは。

なんの躊躇いもなく殴り殺していくだろう。

ーーー

ピーンポーン

ということで俺はなーくんに相談する前に一度くるみを問い詰めようと思う。

ロビーで、鍵を開けてもらうためにチャイムを押したがなかなか返事がない。

クソッ、合鍵持ってくりゃ良かった。

メンバーの中で合鍵を貰ってるのは俺だけ。

理由は、俺かころんがよく遊びに行くため、いちいち開けれないからとのこと。

まぁ、要はめんどくさいってことだろう。

けど、肝心なときに合鍵持ってこないんなら、合鍵の役目果たしてねーじゃねぇか。

俺はもう一度チャイムを押し、しばらくその場に立っていると、やっとくるみの声がした。

くるみ「…あい…」

寝てたんだろうな。

ボヤッとした声が返ってきた。

さとみ「俺だ。開けろ。」

くるみ「…だれ…？」

寝ぼけすぎて声だけじゃ俺を誰か判断できないらしい。

さとみ「さとみだよ、早く開けろ。」

くるみ「…入れば？」

さとみ「忘れたんだよ、合鍵を。」

くるみ「・・・。」

しばしの沈黙の後、鍵が開く音がした。

やっと入れる…


くるみの家の中に入って、やっと一息つく。

他のメンバーは毎回こんな苦労してこの家に入ってきてんのか…

ドアを開けたくるみは安定のすっぴんで、パーカーのポッケに手を突っ込みながら、

ボヤッと出てきた。

もうお昼なんだけど…

コイツ、コアラかよ…

コアラってずっと寝てるらしいぜ。

あれ、コアラじゃなかったっけ？


で、本題だ。

さとみ「お前、学生蹴り飛ばしたろ。」

くるみ「うん。」

あまりの即答ぶりに俺が驚く。

潔いいな。

くるみ「見てた…向こうが…」

さとみ「まぁ確かに最初に胸ぐら掴んで喧嘩売ってきたのは向こうだったけど。

流石に学生蹴るのはやばくね？相手まだ高校生だろ？」

くるみ「私は…」

さとみ「お前はあれくらい慣れてただろうけど、向こうは違う。」

くるみ「いや…」



くるみには、罪の意識はなかったようだ。

なーくんに相談すべき、なのか？

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