ガチ恋 ページ16
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握手会当日。
女の子が多いとはいえ、私も女だから男性のリスナーもたくさん来てくれている。
学生くらいの男女、20代の男女メインかな。
泣いてくれたりテンション高かったり、人間ってそれぞれ違っておもしろい。
笑顔で接していたら夕方頃にやってきた20代の男性。
『こんばんは〜』
違和感なく手を差し出して相手の手に触れようとしたら、がしっと思い切り手を包み込まれた。
強い。痛い。
「すとぷり辞めてください。さくりがあんな奴らと連んでるのが嫌だ。そんなところにいなくていいよ」
小声だけど私に聞こえるように呟いて、ぎゅうっと手に力を込めてくる。
「さくりがすとぷりにいる理由って何?僕だけのさくりじゃないの?こっちおいでよ」
私を見る目が怖い。
怖くて目を逸らすとぐっと強く握られた手が緩くなって、すっと撫でるように腕を触った。
どうしよう。本当に気持ち悪い。
ほかのリスナーの数秒とこの人の数秒が違う。
長い。
私がスタッフさんの顔を見ると、その様子を見て気づいてくれて、思い切り引き剥がしてくれた。
「メンバーに何かあっても知らないし、さくりのためだからな!」
あの人...、もしかして。
よくリプをくれる人かな。
さくりすなーって書いてる人で、確か私のことを本気で好きでいてくれる人なはず。
結構古参。初期の頃からいた。
最近リプで[ ソロ枠いってもメンバーの話ばかりなのはつらい。放送見にいけません ]だの、私の男絡みが気にくわないらしい。
なんとなく知ってる。
初期の頃だって絡んでたのに、すとぷり入った途端にこうだ。
スタッフ「さくりさん!続けられますか?訳を話せば休憩とることも...」
『それは申し訳ないです。やりますよ』
なるべく笑顔で通す。
手が震えるのを必死に隠しながら、1日目の握手会を終わらせた。
隠せてたかな。無理だったろうな...。
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作者名:ひーりん。 | 作成日時:2019年4月27日 17時