苺の国の腹黒王子９！【体調不良】

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るぅとside



る「…おぇっ…ｹﾞﾎ、う"ぇ…」


　苦しい……っ


　我慢して食べたせいか、なかなか止まらないえずきに涙が溢れてくる。


る「…おぇぇ"ｯ…けほっ、ぅ"…」

る「ｹﾞﾎ、おぇっ…！…っ、はぁ…」



る「はぁっ、ｹﾞﾎｯ…は、っ…」


　何度も吐いていたせいか、少し過呼吸気味になってしまった呼吸を必死に整え、ベッドに横になる。

　ビニール袋は部屋の端に置いて、明日みんながいないときにでも捨てよう、と思ってそのまま目を閉じた……。




　〜翌日〜


　朝ごはんに呼ばれたけど、いつものように適当な理由をつけて逃れようとした。


　……でも、できなかった。

　さとみくんが部屋の中に入ってきたからだ。


さ「ほら、朝はちゃんと食えー」


　そう言って手を引っ張られ、リビングに連れて行かれる。


　もう……食べたくないのに。


全員「いただきます」


　朝ごはんは和食だった。鮭と味噌汁とご飯。それから少しの漬け物。

　やっぱり食欲は湧かなかった。


な「……るぅとくん、今日も食べないの…？」


　なーくんが悲しそうな顔をして尋ねてくる。

　だって、食べても吐いちゃうから。


　…なんて言えるはずもなく、何て答えたらいいか分からずにうつむく。


こ「るぅとくん、食べてみな？」

ジ「一口食べたら食欲出るかもしれへんし。」


　何しても食べたくならないけど、と思いながらも、吐くことを覚悟して鮭とご飯を食べた。


る「………っ、」

り「えっ…ちょ、るぅとくん！？」


　この場では吐きたくなくて、トイレに駆け込んですぐに吐き出した。後ろからみんなの足音が聞こえる。

　ふと、暖かい手が背中に触れた。なーくんの手だ。


な「ころちゃん、毛布持ってきてくれる？りいぬくんは水持ってきて。」

こり「分かった！」

る「…おぇっ……けほ、う"ぇｯ…」


　苦しくて、気持ち悪くて、無意識に胸を強く押さえていた手を、誰かがそっと握ってくれた。


さ「辛かったな。ごめんな、気づいてやれなくて。」

ジ「もっと早く気づけば、こんなにるぅちゃんが苦しむこともなかったのに…」


　謝らないで、って言いたかった。でも出来ないのがもどかしくて、僕は涙を流していた。


　二人は何も悪くないのに。

　僕が…弱い、だけなのに。


　そんなことをぐるぐると考えているうちに吐き気は治まり、気付けば体は暖かい毛布に包まれていた。

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