はじまりは ページ1
「さとみ君はさー、どんな彼女が欲しい?」
一度、ころんが俺にそんなことを聞いてきたことがあった。
確か俺の家で2人でゲームをしていた時だ。
と言っても、お互い全然別のゲームをしていて、ころんは床で寝転がりながらスマホを、
俺は椅子に座ってパソコンをいじっていたのだけれと。
それぞれの手の中のゲームに夢中で、ほぼ会話が無いなんてことも今回が初めてじゃなくて、
でもお互いゲームが好きだから気持ちが分かるというか。
会話はなくても心地がいいというか。
とにかく、そんな無言を打ち砕くころんのその言葉は、
今まで彼の口から聞いた事のないようなもので、少しだけ驚いた。
反射的にパソコンから目を離して相変わらず床に寝そべっているころんを見下ろせば、
「あー、くそっ、」
と言いながらこれまた相変わらずゲームをしている。
まぁ、特に深い意味もない、なんとなくな質問なんだろう。
またパソコンに目を戻して、俺も同じように片手間に答えた。
『んー、ゲームしてても怒らない子かなー、
なんなら一緒にやってくれる子とか。』
ははっ、って、いつものころんのちょっと掠れた笑い声を待った。
けど、
「あー、…わかるかも、」
掠れ声の上に少し萎んだようなその言葉は、
今にもゲーム音にかき消されそうだった。
あら、なんかちょっと意味深な…
『なんで?てか恋愛の話とか珍しくね?』
ちょっとだけ茶化すように聞くと、
「ん゛ーぅーー、、や、、なんでも、ない、けど…」
と、自分の腕に顔を埋めて唸るから、
おぉ、まじか……と、
お兄さんは弟の想いをちょっと勘づいてしまった訳ですよ。
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作者名:ぽよ | 作成日時:2020年5月29日 5時