STRAWBERRY DAYS [短編集]

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不意に目が覚める。

見慣れない天井。

そしてお腹の方に違和感を覚えて、下を見る。

私は仰向けになっていた。




…ここ、さとみくんの家だ。





お腹の違和感はさとみくんが私やお腹に頭をのせていたからだった。









…え。





寝ているさとみくんの頬に水滴が見える。
それを拭って、


私はゆっくりと起き上がった。









｢…起きた？
俺も寝てたわ。｣







その反動で目を擦りながらさとみくんが起きた。









『私、なんでここにいるの？』









｢お前やっぱり無理してたやろ。
起きたら横にいなかったから探したら部屋で倒れててさ。

あー…もう本当に心配した。｣







｢今日は仕事させない。
あと会社にどういうつもりが聞く。｣








さとみくんが少し俯いて、
早口で喋る。




状況を理解し、申し訳なくなった。


…わざわざここまで運んでくれたんだ。









『ごめん…
でも仕事は大丈夫だから、
私がやりたくてしてるから…』









｢倒れてまでするくらい自分の体より仕事の方が大事？｣









真剣な目でじっと見つめられ、
私は思わず姿勢を正す。




…さとみくん、ちょっと怒ってる。









『認めて貰いたくて…』







女だからって雑用ばかり任されて、
したいことはこんな事じゃない。
もうやめてしまおうって思ったことは何度もあった。
そんな時に任された仕事。


失敗するわけには行かなかった。









｢…それは分かる。
その気持ちはわかるよ。
でも俺に黙って1人で頑張るのはやめろ。
一緒にゆっくり頑張ろ？｣





さとみくんが私の手を取って、ぎゅっと握ってくれる。
その手はとても温かくて。







『…でも。』







さとみくんには心配も迷惑も掛けたくない。
さとみくんだって自分の仕事がある。








｢お前は心配かけるとか思ってるかもしれねぇけど
俺はいきなり倒れる方が心配なんだよ。
もう少し俺に頼れ。｣




優しい声で、優しい笑顔でそういうさとみくん。

耐えきれなくて私の目から涙が溢れた。





さっきの私が見たさとみくんの顔の水滴。
あれは涙だったのかもしれない。



今更自分のしたことに罪悪感と申し訳なさを覚えて
深く反省した。







『ありがとう、心配かけてごめんなさい…』




これからはちょっとだけでもさとみくんに頼ろうと思った。






｢頑張る姿を見るのも好きだけど、
健康でいてくれたら俺はそのままのAを愛してる。｣

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