【ONE PIECE】夢追うあなたを追う私

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日の光の届かない船底では目覚ましは看板の足音。
そして男がドガッっと扉を蹴る音こそ、私たちの朝食の合図だ。

鎖で繋がれたテリトリーにそれぞれの食事が置かれる。海賊に体を売ったりして気に入られれば食事は良くなるし、夜はここじゃなくて男の部屋で眠れる。けど私はまだ純潔でいたいからもう何カ月もこの残飯みたいな粥を啜って生きている。

まだ、私は16。もう大人とされても拒否権があるうちに行使しておきたい。近々身売りに出された後なら拒否権なんてない立場になるのだから。

海軍がこの世界にいたって、海は広い。こんなに長い間軟禁されて未来がなくなるなんて思いもしなかった。
クソまずい粥を完食したらあとはもう、することはない。
伸び切った髪の枝毛を指でプチプチするのが無心になれて良い。

母譲りで自慢だった白い髪色は風呂にきちんと入れないからきっと臭ってるだろうし、何より傷んで、見る影もない。一応乙女だしショックっちゃショックだなーって毎回思うばかり。

そのうち船を漕ぐのを命じられて、呆けるようにしてまた1日を過ごす。明日に希望なんてない中で。

2度目の食事の合図は夜の証。
少し臭い魚が入った汁だ。劣悪。ため息をついて、汁を啜ろうとしたそのときだった。
船は大きく揺れて上の方がかなり騒がしくなった。
揺れのせいで大抵の人の夕飯がパァだ。おかわりはないので明日までの辛抱となってしまった。臭くても飯は飯。悔しさを噛み締めるがそれより何かトラブルがあったことの方が重要だろう。

「おい！まずいぞ！」
「進路四時の方向へ！急げ！」
遠くに聞こえる声はなにかから逃げているようだ。
…敵船？

かと言って私たちに何ができるわけでもない。鎖で繋がれているのだから身動きも取れないし。
いずれ一生が人扱いしてもらえないことはわかっていても今すぐに生涯が終わるかもしれないとなるとやはり焦燥感が違う。変な汗が伝うし、周りは目に涙を浮かべて必死で声を抑えていた。何をしても海の上じゃしようもないけど。
そうして、ジリジリと嫌に迫る感覚を持った悲しみと恐怖感を飲み込んでいたときだった。

「第1班は制圧、続いて2班は船内の捜索を行なってください！」というアナウンス。
そして
「我々は海軍です。周りは完全に包囲しました。抵抗をやめて投降しなさい」

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