【ONE PIECE】Elska saga (ページ10)

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将来迎えに〈サンジ〉ページ10

私はしがない村娘、14歳！
なのに今絶体絶命のピンチです。

｢嬢ちゃん、悪りぃな。みられちまったからにゃそのままにはしておけねぇ」

ある人の遣いで隣町へ行ったら帰りがすっかり夜になってしまったどころか、そこでうっかり賊の何やらよくない取引現場を横切ってしまったらしい。

｢暗くて何もみてないと言いますか、その……」
本当に見ていない。いたことを知っていたならこんな裏路地通らなかった。

何と言っても後の祭り、ジリジリとこちらに寄ってくる大男たちを前に逃げきる余地はないし、もちろん私は戦うなんてできっこない。

恐怖で足がすくみ、涙が出そうな鼻の嫌な痛みを感じた。そして伸びてくる手。
思わずぎゅっと目を瞑ると次の瞬間私が感知したのは骨の折れる音と、そして男の呻き声。

｢へ？」

慌てて目を開けると細身の男性が私の前で華麗に賊どもを文字通り蹴散らしていた。
そして服の汚れを払って私に向き直す。

｢怪我はねぇか？」

｢な、ないです……！」
私がそう答えるとその人は｢よかった！」と安堵したように笑ってくれた。一緒にサラサラの金髪が揺れて私はすっかりのぼせ上がる。

｢お嬢さん、名前は？」

｢Aです……」

｢そーか！Aちゃんっていうのか！こんなところで1人でいちゃダメじゃねぇか」
気さくな雰囲気、心地よい声、整った顔。
助けてもらった私がほの字になるのはわけなかった。
私は素直に黙ってコクコクと頷く。その様子を見て彼は｢いい子だな」なんて言う。

｢…おっと時間がないんだった。ジジイに怒られる！送ってやらなくて悪りぃけど気をつけて帰れよ！」

帰り道はすぐそこだからそれは問題ない、けどもう会えないのだろうか。この辺の人だろうか。

｢あ、あの！好きです！…あなたのお名前は？！」

今言わなきゃと思って、そして彼のことを聞きたくて目一杯の勇気を振り絞った。

｢俺はサンジ。海のコックだ。俺は少女趣味はねぇがきっと将来美人に育つぜ！そしたらぜひ俺にまた会いに来てくれ」
それだけ言うともう一度気をつけろと念押しして彼はどこかへ行ってしまった。

帰り着いた私は両親にこっぴどく怒られたけど憧れの人を見つけた単純な私の将来の夢はあれ以来コックになった。

数年後、新人として手配書がでたとき海賊なんてと驚いたけど、私は立派にコックになったからはやく彼に会いに行きたい。今、私は18歳。あの人はいくつなんだろう。