【ONE PIECE】Elska saga (ページ12)

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断じて〈ロー〉ページ12

数日前訪れた島の溜まり場みてェな酒屋にそいつ(• • •)はいた。

｢うわあっなんで水浸しっ？！」

屈強な男共の間をよくつまづきながら進むウェイトレス。派手な音をさせてトレンチをひっくり返すこと俺が今日ここへ来て見てるだけでもう5回目だ。

｢ブハハハハ！Aちゃん今日も調子いいなァ！」

｢からかわんといてくださいよ〜」
いたーと腰をさすりつつ、割れたガラスの中でウェイトレスは立ち上がる。小さな切り傷が見るたび増えるのはこういうことが頻繁に起こるからだろう。

ポケットから手当て道具を出して慣れた手つきで消毒と処置を済ませたかと思えば箒を持ってきてささーっと片付ける。そして何事もなかったかのような顔をして業務を再開…以下繰り返しだ。

｢キャプテン、ここの酒そんな美味いっすか？」

ここ数日この店に来ることが多かったからかシャチは微妙な顔をして俺を見る。

｢俺が来てるのに勝手についてきてんのはお前らだ。好きじゃねェなら別の店行きゃいいだろう」と俺は返す。
自分自身苛立ちつつもここに通う自分が分からねェ。あいつは危なっかしくて、見てられなくて、腹立たしいのにだ。

｢キャプテン冷たーい」
ブーブー抜かすペンギンをシカトしてカウンターへと視線を戻す。

正直ここの料理も酒も格段微妙に美味しくない。
それにあの女が厨房へ引っ込んだと思えば騒ぎ声が続くわで正直俺なら店に置かねェ。
しかしこの店が繁盛してんのは多分このウェイトレスの存在のおかげだろう。

恩人の姿と重なって気にしちまうのかなんなのか。
俺と似た境遇じゃなくとも面白い物見たさでこの男たちも屯っているというところだろうか。全くイライラする。

｢でも不思議と居心地いいよねこの店」

｢だなー、あのAちゃんの感じがなー、ドジな感じいいよな」

くだらねぇ、と一瞬目を離せば恩人と動きのよく似たその女は端のテーブルで大男に絡まれている。

｢おめぇここの看板っ子か？！えェ？包帯多いが別嬪じゃねぇな！夜はいくらだよォおい！」

｢離してくれんと困るわ、お客さん」
明らかに意識のまともじゃねぇ酔っ払いにも眉尻を下げるだけで呑気な女に俺は更にイライラする。

｢チッ」

｢あれ？私、あれ？」

シャンブルズ。
俺のグラスと女とを入れ替えた。急な移動で状況が把握できていない女は俺の顔をマジマジと見つめて｢お客さん、顔変わった？」なんて抜かしやがる。

男は女がグラスに変わって酔いも覚めたようだ。