【ONE PIECE】Elska saga (ページ1)

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一目惚れ〈サボ〉ページ1

今日は、入学して初めての出校日。
本命の高校に落ちて入学したこの学校は良くも悪くも自由なことが多いしもちろん自由人も多い。

特に教室で騒ぐ男子にはお手上げでまだ友達のできていない私は入学式が終わっても誰とも会話せず窓の外を眺めていた。

華々しく高校デビューするはずだったのに、まさか自分がこんなに人見知りとは気づかなかったし話しかけられてもなんて返せばいいかわからない。

本日何度目かの小さなため息をつくと、今まで空っぽだった隣の席に誰かの気配がした。

｢……わ、……｣
横を見るとどの人より制服の似合う顔の綺麗な男の子が。
荷物を取り出す横顔があまりにも綺麗でびっくりした。こんなに綺麗な顔の人が身近にいるなんて。
ふわふわの金髪も、青がかった黒い瞳も、何故か左目を覆う火傷のあとさえも全て綺麗だと思った。

｢ん？｣
つい見とれてガン見してしまっていたのでその子は不思議そうに私を見る。
しまった…、

｢あ、いや！なんでもない｣
そう言って何もなかったように前を向き直していそいそと読書開始。

あんな人はモテるに違いない。
いや、もうモテてる。ちらりと教室を見回せば大抵の女子は私の隣に釘付け。
そりゃそうだよね。当たり前だよ。

そんなことを思っていると隣のその子がちょいちょいと私の腕をつついた。

｢悪ぃ、宿題見せてくんねぇ？｣

｢え？｣

｢説明会のときに出ただろ？色々あってまだ終わってないんだ｣
何故か余裕そうでバツの悪そうな笑顔の前で手を合わせる彼に思わず私は小さく笑ってしまった。

｢いいよ。なんの宿題？｣

｢本当か!?ありがとう！国語と社会なんだけど…｣

｢あ、もしかして苦手なの？｣

｢仕方ねぇだろ！やりたくなかったんだ｣

まるで小学生のようで、私は耐えられずくすくす笑いながら鞄から社会の問題集と国語のプリント集を取り出す。

彼は改めてありがとな！と言うと速筆の達人かという速さで答えを移していく。

それを眺めること数分後。

｢終わった？｣

｢あぁ、お陰様で。｣

｢それは良かった。｣

丁寧に渡された宿題を受け取って名前を聞こうと顔を上げたとき、彼は思いがけないセリフを口にした。

｢Aって笑ってた方がずっといいよな。無表情なんてせっかくの顔がもったいねェ｣
ニッコリと笑ってそういう彼に不覚にもドキリとしてしまった。

｢なんで私の名前…｣

｢ん？あー、それは内緒だ｣
一瞬でいたずらっ子のような顔になる彼に今、ときめいている私がいた。