検索窓
今日:9 hit、昨日:2 hit、合計:49,604 hit

3日目 ページ9





「角名くん、ここ、わかる?」

部活停止1日目に言われたときと同じように控えめに声がかけられたのは、あれから2日経った日だった。

つまりは部活が停止されて、3日目。



「…ん?どこ?」



前と同じはずで、
あのときと違っているのは、自分の気持ちだけだと、そう思っていた。

瀬名は、髪を耳にかける癖(癖だと知ったのは最近だけど)をして、問題が詰まっているページの中から、ひとつ、指差す。


瀬名が俺に聞いてくるのは、って言ってもまだ二回目だけど、毎回同じ教科で、勉強しているのもずっと同じ教科だった。



苦手なのかな、そう思っていたし、なんにも気にせず、椅子を近づけて問題をのぞきこむ。
「私ここ苦手なんだよね…」と困ったように笑う姿にも、また胸が鳴いたのは、俺だけの秘密だ。まだ信じらんない、ってのが本音だけど。




「……ああ、これ、」
「…わかる?さすが!」




多分、だけど。



俺は、わかったことを伝えたくて、
瀬名は、俺に確認したくて。


そのふたつの気持ちが、ちょうど、タイミングよくぴったり重なったからだと、おもう。



















「っあ、」



ただ、事実として、二人の顔が異常なまでに近く、少し動くだけでぶつかりそうな距離だった。

…っちょっとまって、いろいろ、やべえ。



ばちっ、と絡まった視線は、相手の方からすぐにそらされる。

すぐあとに、ごめん、と弱い声が聞こえて、「お、俺もごめん」とようやく声を出すことができた。


……心なしか、顔は赤いように見えた。そりゃそうか、男とあんな距離なら、誰でも、そうなるか。



どちらからともなく、少しずつできた隙間。内心、とても焦っていた。


__心拍数はやべえし、心臓はうるさい。
暑いなんて言い訳しようにもまだまだそんな季節でもないし、なんとなく、耳が暑くなっているのがわかった。


…うわ、まって、こんなん意識してんの絶対バレバレじゃん、

楽しいはなし→←部室



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (67 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
74人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 投稿された当時からずっと大好きで、ふと思い出しては読みに来てます!!最高です!!残してくださってありがとうございます(> <)!! (7月9日 12時) (レス) id: 6f4d1e3f85 (このIDを非表示/違反報告)
花江(プロフ) - チャイさん» 誤字あったので再度失礼します、既に目を通されていましたらすみません…;;チャイさん〜!!新年からとっても素敵な感想ありがとうございます;;初投稿ですごく拙い文章ですが最後まで読んでいただけて嬉しい限りです;;こちらこそありがとうございました…!!;; (2019年1月10日 0時) (レス) id: cf4a10af8b (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - 泣きました、ほんとに泣きました。まず文体がぽわぽわしていて、角名くんと女の子の青くて淡い恋心がとても伝わってきました。それから侑くんが男子高校生って感じですごく好きです。思わずラストは大の字になって倒れました。素敵なお話をありがとうございました! (2019年1月4日 18時) (レス) id: 26170b8b11 (このIDを非表示/違反報告)
花江(プロフ) - ゆうさん» 読んでいただいてありがとうございます…!コメントもとても嬉しいです;;そういっていただけてよかったです、ありがとうございます…! (2018年8月1日 15時) (レス) id: cf4a10af8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 両片思いが実るまでが素敵でした…!可愛いお話ですごく好きです! (2018年7月17日 19時) (レス) id: 3710aecabb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:花江 | 作成日時:2018年4月14日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。