部活再開 ページ7
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テスト期間も、テストも、部活を止めていたソイツらは意外にもすうっと抜けていって、今日から部活再開だった。
さっそく外周とかあったらダルいけど、まあ体を動かさないよりはマシだ。
…なんて思いつつ、「テスト返すぞー」と先生の声が教室に響く。
その声を聞くなりざわざわとする空間。俺も多少なりとも赤点とかいう恐怖に怯える。
部活で点数聞かれたときに、北さんの前で「赤点です」なんてマジでしゃれになんねえ。
「角名倫太郎!はやく取りにこいー」
名前を呼ばれたので、席を立つ。机と机の間___瀬名のすぐ横を通るときに、くい、と袖を引っ張られる。
反射的に俺の袖を引っ張る瀬名を見ると、親指をグッとたてていて、当の本人は自信があるような顔だった。
俺の時間と、考えが詰まっているわりに随分とぺらぺらした紙を受け取って、席に戻る。
ちら、と隙間から見えた点数に、安堵の息を吐いた。
………赤点の心配とかねえじゃん。
所謂、心配するだけ損、みたいなやつ。
「角名くんどうだった?」
「んー、まあまあってとこ」
「この教科得意だったもんね!」
私は苦手なんだけど、角名くんに教えてもらったし、今回だけは自信あるんだ…!と胸を張った。
その、なんだかよくわからないけど、俺を頼ってくれてる感じ、朝からほんとやめてほしい。そういうことろがズルい。
瀬名A、と名前を呼ばれた彼女は、慌ただしく席を立って、相変わらず前髪を気にしながら教卓の前まで急いでいた。
教室の前の方で嬉しそうな顔を作る、瀬名。
……このあと、俺は瀬名から、「角名くんここ!教えてくれたところ!」正解できたよ!と丸がたくさんついた用紙を見せられることになった。
「ありがとう」と心なしか何時もより嬉しそうな笑顔は、俺の心を更にかっさらうには充分で、
それでも、「よかったじゃん」としか言えなかった自分をかなり、マジで恨みたい気分だ。
他、返ってきたテストはどれもいい感じで、その度に瀬名と二人で「ここがわからなかった」とか、「凡ミスしてる!」とか、それはそれは騒いだ。
赤点が一個もない、といういい報告を持って、その日は部室に向かった。
緩く回したドアノブ、ここの鍵はなんでだか知らないけどいつも開いている。
もう一度言うけどなんでだかは知らない。
部室に入るともうすでに隣のクラスの侑が来ていて、会釈程度の言葉を交わすと「サムはどしたん?」なんて聞かれた。
治に関して特に知っている情報はなかったので適当に流しておく。
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ル(プロフ) - 投稿された当時からずっと大好きで、ふと思い出しては読みに来てます!!最高です!!残してくださってありがとうございます(> <)!! (7月9日 12時) (レス) id: 6f4d1e3f85 (このIDを非表示/違反報告)
花江(プロフ) - チャイさん» 誤字あったので再度失礼します、既に目を通されていましたらすみません…;;チャイさん〜!!新年からとっても素敵な感想ありがとうございます;;初投稿ですごく拙い文章ですが最後まで読んでいただけて嬉しい限りです;;こちらこそありがとうございました…!!;; (2019年1月10日 0時) (レス) id: cf4a10af8b (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - 泣きました、ほんとに泣きました。まず文体がぽわぽわしていて、角名くんと女の子の青くて淡い恋心がとても伝わってきました。それから侑くんが男子高校生って感じですごく好きです。思わずラストは大の字になって倒れました。素敵なお話をありがとうございました! (2019年1月4日 18時) (レス) id: 26170b8b11 (このIDを非表示/違反報告)
花江(プロフ) - ゆうさん» 読んでいただいてありがとうございます…!コメントもとても嬉しいです;;そういっていただけてよかったです、ありがとうございます…! (2018年8月1日 15時) (レス) id: cf4a10af8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 両片思いが実るまでが素敵でした…!可愛いお話ですごく好きです! (2018年7月17日 19時) (レス) id: 3710aecabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花江 | 作成日時:2018年4月14日 19時