【HQ】溢れそうでも、零れそうでも、

気持ち ページ11

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テスト期間、部活が止まっていたときからじわじわと距離が縮まっているのを、自分でも感じていた。

それはなんだかとても嬉しくて、言葉に表せないくらいのむず痒さがあって、片想いが楽しいってこれのことか、なんてまで思ったりもした。

……正解かどうかは知らないけれど。


「……角名くん」
「…ん」
「ここ、なんて読むかわかる…?」


勉強の時間の延長戦な感じで授業中の質問の数が増えた。

丁寧に教えてくれる角名くんは、いつも目を擦っているような気がして、なんだか可愛くて。








…気づけば、
夢中に、なっていて。




ふわりと香る柔軟剤のにおいが、心にまとわりついてきて、離してくれなかった。もう、あれだ、虜っていう、やつ。そんな気持ち。




「…瀬名？」



「……っああ、ごめん！なんだっけ」



ふとしたときに、思う。



「…ちゃんと聞けよ」



そうやって、話をくれたときに、思う。



「……ごめん」



ああ、わたしは、あなたのことが、すきなんだって。



「…いいけど」





だからこんなにも、角名くんと話したいって思ったり、角名くんのことをじっと見ちゃったり、そんな、

“必死”が楽しく感じるんだ。




･


授業が終わって、ほんの少しの休み時間。
次の授業の準備をしていたところに、賑やかな声が届いた。



「角名！どいつや？どいつや！！」



名前にばっちりと反応してしまった私は、反射的に声のする方を向いた。……向いてしまった。

教室の入り口で声をあげているのは、確か、バレー部のすごいセッター…で、金髪の……

乏しい記憶力ではそこまでだったけれど、モテる人だということは知っている。…ああ、たしかに格好いい。


その隣で「お前、やめ、」と必死に静止を呼び掛けていたのは角名くん。普段は全然見せない焦った姿が珍しくて、また笑わされた。

隠し事→←楽しいはなし

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