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朝練 ページ1




朝練だ、といつものように時間に余裕持って起きる。朝に弱い訳じゃないし、朝ごはんもしっかりたべて、家を出た。

今日は北さんを抜かして一番になれるかな、…まあんなことあるわけない。
あの人マジで早い、一番はいつまで経ったって譲っては貰えないだろう。別に狙ってないけど。
道に落ちていた石ころを、一度だけ転がした。


学校までの道のり、特に何かをするわけでも考えるわけでもなく、部室の前に着く。ドアノブを捻って扉を開けると、いるはずの北さんがいない。

あの人に限って遅刻なんてないだろう、じゃあ俺がただ単に一番乗りだったとか?……いやいや、





「……あ」




部室にあるカレンダー。
北さんの字で書かれた文字と、矢印。

「……部活停止、期間」

昨日あれほど言われたっていうのに、すっかり忘れていた。そうだ、テスト、近いんだ。
……くそ、早起きした意味ねえじゃん、くそ。
北さんに勝てるなんてんなわけないよな、そうだそうだ。
一人で使うには広すぎる部室で着かけていたジャージを脱いで、制服に着替える。

朝練なんてないと知って、急に眠気がこみあげてくる。あーもう、来るのはやすぎかよ、俺。慣れってこわ。

もともと空いていた扉の鍵については放っておいても後で誰かが閉めにくるだろう。


おとなしく部室をあとにして、無駄に持ってきた部活の道具と一緒に教室に向かった。
こんなことなら侑か治にでも言っておくんだった。「朝練ないってライン残しといて」って。



教室についてももちろん誰もいなかった。
まあ、そうだろう。朝練がないとなれば治だってギリギリに来るだろうし、この時間だ。

……誰かいるかもなんて期待だってしてなかったし。


後ろの方の席に座って、体を縮めた。


__このまま寝てやろうか。
そう考えたとき、静かすぎる廊下を歩く足音が聞こえた。

………先生か?

角名早いな!なんて絡まれたらたまったモンじゃない。面倒だし、寝たふりでもしとくか、と腕に顔を埋めて、様子を伺う。



からから、と静かに、そして控えめに開けられた扉。確かにこの教室に入ってきた音が聞こえた。足音が、こちらに近づいてくる。

おはよう→



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(プロフ) - 投稿された当時からずっと大好きで、ふと思い出しては読みに来てます!!最高です!!残してくださってありがとうございます(> <)!! (7月9日 12時) (レス) id: 6f4d1e3f85 (このIDを非表示/違反報告)
花江(プロフ) - チャイさん» 誤字あったので再度失礼します、既に目を通されていましたらすみません…;;チャイさん〜!!新年からとっても素敵な感想ありがとうございます;;初投稿ですごく拙い文章ですが最後まで読んでいただけて嬉しい限りです;;こちらこそありがとうございました…!!;; (2019年1月10日 0時) (レス) id: cf4a10af8b (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - 泣きました、ほんとに泣きました。まず文体がぽわぽわしていて、角名くんと女の子の青くて淡い恋心がとても伝わってきました。それから侑くんが男子高校生って感じですごく好きです。思わずラストは大の字になって倒れました。素敵なお話をありがとうございました! (2019年1月4日 18時) (レス) id: 26170b8b11 (このIDを非表示/違反報告)
花江(プロフ) - ゆうさん» 読んでいただいてありがとうございます…!コメントもとても嬉しいです;;そういっていただけてよかったです、ありがとうございます…! (2018年8月1日 15時) (レス) id: cf4a10af8b (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 両片思いが実るまでが素敵でした…!可愛いお話ですごく好きです! (2018年7月17日 19時) (レス) id: 3710aecabb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花江 | 作成日時:2018年4月14日 19時

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