僕らのSTORY 〜その後編〜

関西人は癖が強い （F） ページ1

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「そういえば。ねえ辰哉くん、」

「んー？」




ベランダで気怠そうにタバコを吸う姿はもう見慣れた。

名前を呼べばゆっくりと振り返って「なに？」と緩い感じで聞いてくる。





「ずっと前に流暢な関西弁を喋るタイと日本のハーフさんっていうややこしいお友達が居るって言ってたでしょ？紹介してくれません？」

「いや別にややこくはねえよ？なんで？」




紹介して欲しいとお願いした相手が男性のせいか、辰哉さんの眉間にちょっと皺が寄った。


怖い怖い。




「ちょっとネタに困ってまして。案をあげなきゃダメなのに何も降ってこなくて」

「で、紹介してほしいって？」

「うん」



だって聞いただけで面白そうだもん。


それに久しぶりにタイ料理食べたいし。


てなわけで、お出掛けの支度をして久しぶりにデート気分を味わいつつ外出することになった。


私達油断をすると引き籠もって仕事と買い物以外は外に出なくなるから、これもいいきっかけだろう。




「ん」

「？」


マンションのエントランスを抜けたら、辰哉くんが掌を見せてくる。


私はふふと笑って、その大きな手に自身の手を被せた。








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バスを乗り継いでやってきた派手な看板のお店。


ドアを開けるとカランカランと鳴って、それとほぼ同時に「いらっしゃーい！」と厨房の方から顔を出した青年と目があった。




「おー、ふっかさんやーん！なになにどないしたん？」

「普通に飯食いに来ただけよ」

「て、誰よその隣の美人さん！ めっちゃ可愛いやん！なんなんなんなん？デート？」

「……はあ、うるさ」




来て早々口が閉まらなくて、手振り身振り付きのマシンガントークがくり広げられれば、辰哉くんは頭を抱えてしまった。

あはは、ほんと関西弁だ。



「あの、はじめまして。 えっと、Aって言います」

「おおAちゃんやな！ 俺は、皆の万能調味料こと塩麹よりもむか、」

「あそこ座ろっか」

「ておーいっ！ 最後まで言わせてえーな！！」

「長いよ」

「塩麹よりも向井康二でっす！！」




あ、無視して進めた。




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