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「なんでそんな笑顔なん?」
『え?』
「俺じゃダメなとこでもあった?」
『や、なんの話...』
「ねえ」
ずい、と顔を近づけてAさんの瞳を覗き込む。
動揺した瞳はしどろもどろ。ダウト。
「ダメ」
『え』
「Aは渡さない、だって俺のAだから」
細い細い、白魚のような手を。
俺はそれを掴んで、剣山の上に滑らせる。
『な、何、危ないよ、だめ、ヤダ、ショッピく、』
「ちょっと黙ってもらっていいですか」
少しずつ、少しずつ、白い手のひらを針の山に埋めていく。Aさんの顔も少しずつ恐怖と痛みに歪んでいく。
『〜...、い、た、』
「...まだ、我慢出来る痛みみたいですね」
自分の上がった口角に、彼女が気づいたかどうかは知らない。
けれど思い切り振り上げた動作は見えたはず。
なのに彼女は手を動かさなかった。
理由は簡単。彼女は優しいから。
彼女の手が動けば、その針の山に刺さるのは俺の手。
だから彼女は動かない。
俺を言葉で止めようとする。
でも俺は止まらない。
全部知っていた。全て思い描いた通り。
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ちぃ汰。(プロフ) - 了解しました。続きで書くのでしたら是非拝見させて頂きます。宜しければ続きである事を表記していただけたら幸いです。楽しみにしています。 (2019年10月5日 14時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
絶対匿名03(プロフ) - ちぃ汰。さん» ひたすら毒素の詰め合わせ、と言う短編集にて毒素の話として書こうと思っています。よろしければ閲覧していただけると幸いです。 (2019年10月5日 13時) (レス) id: b60e961817 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 絶対匿名03さん» コメントありがとうございます。続きを書いていただけるのでしたら是非拝見したいです。もしよろしければどちらの作品で書かれるのか教えていただけないでしょうか。ありがたいお話ありがとうございます。 (2019年10月5日 12時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
絶対匿名03(プロフ) - リクエストではないのですが、シリーズ最初のApple Tarteの49話(キュラソーを濁らせて)の話の個人的な続きを書きたいのですが、よろしいでしょうか?なるべく作風や元の口調等が崩れないように注意するつもりです。ご返答よろしくお願いいたします。 (2019年10月5日 8時) (レス) id: b60e961817 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 暁さん» こんなに長く読んでいただけてるのを知れて嬉しかったですよ、本当に! こちらとしては皆様のコメントはとても励みになるのでありがたいです...! 是非またリクエストでもなんでもコメントして下さると嬉しいです。 (2019年9月5日 10時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃ汰。 | 作成日時:2019年6月22日 0時