疑うことを知れ【os】 ページ18
｢もう少し警戒するべきやで？Aちゃん。｣
柔らかく微笑む彼の表情はいつもと変わらない。
確かに油断していた。でも警戒なんて仲間内でするものじゃないと思う。
『、...お、しゅ...あ、...』
そう言おうとしても私の口は思うように動かなかった。彼の名前すら呼べなかった。
｢うふふ、俺の名前呼ぼうとしてくれとるんやね。嬉しいなぁ。ちゃんと呼ばれへんの悲しいけど、大丈夫やで、ちゃんとわかってるからな。｣
ありがとうなぁ、と緩く語尾を伸ばし力の抜けた私の身体をゆるりと抱きしめた。
抵抗なんて、しようとしても出来なかった。
｢やっと、Aちゃんに触れられた...。受け入れてくれてありがとうな、俺こんなに幸せなの生まれて初めてやで？｣
『な、...で...？』
んー？と首を傾けて、彼の糸目が開く。綺麗なエメラルドが反射して、その暗い深海の中には薬でどろどろになった私が溺れていて。
｢やって...Aちゃんが、悪いんよ？油断しとるからやで？そんなんやったら、他の男に食われてまうやんか。その前に学んで欲しくてな。ええ考えやろう？｣
『...う、』
恐怖でほろりと涙が零れた。彼の機嫌を損ねてはならないと、止めようとするのに止まらなくて。
不安から更に涙は零れた。私はこのまま、脳みそを溶かし続けることになってしまうのか。
｢ええんやで、大丈夫やで、俺はどんなAちゃんでも好きなんやから。でもAちゃん、危なっかしいからな。ひとらん辺りは狙ってるっぽいしな。ほんま油断ならん男やで。｣
こんな狂ったの腕の中で眠らなければならないなんて。
『ら、んら...た、す…』
愛する彼の名を呼べば、目の前の唇が押し付けられた。
様々な息苦しさに、私の視界はブラックアウトしていく。
｢ええか、二度とその名前を呼ぶんやないで？次はどうなっても知らんからな、｣
冷たい色をしたエメラルドを最後に、私は目を閉じた。
かしゃり、と遠くでカップとソーサーが音を立てた。
早く、この悪夢が醒めますように。
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ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» うわああありがとー！！そんな忙しい時に見てくれてありがとうね！！毎度毎度コメントしてくれてほんと嬉しい！マジでありがとうね！！ (2019年3月4日 14時) (
レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - お疲れ様！ずっと全部読んで、更新の度に喜んでた笑 ラストもちぃ汰らしい終わり方でめっちゃ好きやし、全部の話大好きやった！またもし新作が出来たら変わらずすっ飛んで行くね！取り敢えず、お疲れ様でした！50話おめでとう！！ (2019年3月4日 6時) (レス) id: d712e3143f (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 葉月さん» コメントして下さって、また褒めていただきありがとうございます。少しずつ更新していけたらと思いますので、どうぞこれからも宜しくお願いします。 (2019年1月27日 9時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - はじめまして。素晴らしい作品をありがとうございます！……ただそれが言いたかっただけです。 (2019年1月27日 4時) (レス) id: 87837aefcb (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» ま、満足頂けたようで何より！！ それそれ！甘々なのじゃなくてもっとフレッシュさあるよね！(？) (2018年12月17日 17時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぃ汰。 | 作成日時：2018年12月10日 11時
