地を舞えぬ鳥【gr】 ページ2
更に続き。
_______________…
｢アーベル少佐｣
『はい』
｢貴様、一体何を考えている｣
ブロンドから覗く紅色は怒っているようにも、困惑しているようにも見える。この二人の間にこれ程の気迫が満ちるのは何時ぶりであろうか。
｢...済まない、君達は席を外してくれないか｣
｢は、はっ！｣
彼の気迫に当てられた部下は少し吃るように言葉を残して退室した。
『...私の可愛い部下を怖がらせないで下さい。』
｢貴様のせいだろう。敵に情けを掛けるなどお前らしくもない。ましてや先日撃ち落とした機体となれば、今度こそ確りと留めを刺さなければならないというのに。｣
『...確かに、機体は先日の物と同じ...''ザンコウ''でした。しかしパイロットは違った。先日貴方が言っていた彼女でしたよ。』
更に険しくなった彼の表情に臆することも無く、彼女は平然と、しかし真っ直ぐとその紅色を見つめ返す。
｢それで情けを掛けたと？同じ女であるから？それが理由になると思ってるのか？｣
『いいえ、先程から総統は勘違いをしていますね。私は情けを掛けたつもりは一切ありませんよ。』
｢ではなんだ？気まぐれを赦すほど私は優しくないぞ。｣
彼女は口の端をゆるりと上げ、好奇心に満ちた瞳を彼に向けた。
『...あの場で殺すには惜しい人材です。伸ばせばあの羽はもっと速くなる。彼女の瞳も素晴らしかった。如何にも私を...、それこそ親の仇と言うように、憎しみを隠しもせずに...あんなに血が踊るのは久しぶりで…』
話している間、彼女の瞳は東側の空を写していた。
遊び相手を見つけた子どものような嬉々とした表情に、彼は怒ることをやめて深くため息をついた。
｢...もういい、だがこれだけは言わせろ。｣
『何でしょうか。』
｢...ソイツに翼を折られるのはやめてくれ。お前の自由を奪えるのは私だけだ。｣
『あら、総統。年端もいかぬ女相手に嫉妬ですか？』
｢お前に死なれては困るのだ。私の夢は君がソ連の空を、機関銃無しに飛び回る姿を見ることだからな。｣
彼女はまたも緩りと口端を上げた。
『どうせなら世界一周旅行がいいわ。貴方を乗せて、総てを上から見下ろすの。私と貴方の世界を。...ふふ、』
彼もつられて目を細めた。
｢それいいな。ビッグ・ベンが、自由の女神が、総て我らの下にある。...ああ、｣
世界の風にその羽を伸ばす日を夢見て、彼女の胸が震えた。総てを手中に収める回想に、彼の睫毛が揺れた。
夜明けは、近い。
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ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» うわああありがとー！！そんな忙しい時に見てくれてありがとうね！！毎度毎度コメントしてくれてほんと嬉しい！マジでありがとうね！！ (2019年3月4日 14時) (
レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - お疲れ様！ずっと全部読んで、更新の度に喜んでた笑 ラストもちぃ汰らしい終わり方でめっちゃ好きやし、全部の話大好きやった！またもし新作が出来たら変わらずすっ飛んで行くね！取り敢えず、お疲れ様でした！50話おめでとう！！ (2019年3月4日 6時) (レス) id: d712e3143f (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 葉月さん» コメントして下さって、また褒めていただきありがとうございます。少しずつ更新していけたらと思いますので、どうぞこれからも宜しくお願いします。 (2019年1月27日 9時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - はじめまして。素晴らしい作品をありがとうございます！……ただそれが言いたかっただけです。 (2019年1月27日 4時) (レス) id: 87837aefcb (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» ま、満足頂けたようで何より！！ それそれ！甘々なのじゃなくてもっとフレッシュさあるよね！(？) (2018年12月17日 17時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぃ汰。 | 作成日時：2018年12月10日 11時
