君と九回【tn】 ページ9
彼女は変わった人やった。
いや、行動とか、雰囲気とかは普通に可愛い只の女の子だったんやけど。
考え方といったらそれはもう、卑屈と言うべきか、悲しいと言うべきか。
｢月が綺麗やね｣
『ほんと』
｢...やっぱし、綺麗に見えてんのは、届かへんからなんかな、汚い部分がぼやけて見えてへんから、綺麗に見えてしまうんやろか？｣
『知りたいと思うなら、その部分を受け止める必要はあるでしょうね』
｢俺にも、手に入れられるやろか｣
『さぁ？その熱意によるんじゃない？』
｢...A｣
『何？』
｢...俺と、｣
『受け止める自信、があるなら』
思い出すと顔が歪みそうになる程のへったくそな口説き文句。
そんな言葉を受け止め、受け入れた彼女。
彼女は、普通に愛された普通の女の子だった。
なのに彼女はよくこう考えていた。
『私、なんでいきてるんだろう？
いきててもお金かかるだけじゃない？
でも死ぬと、お父さんもお母さんも悲しむ。
でも、それでも迷惑をかけずに生きることは不可能よね？
私、生まれない方が、良かったじゃん。
私、って、な ん な の ？』
言いはしないけど、彼女に触れる度、感じるそんな思い。
俺がどんなに好きだと語っても、どんなに求めても、どんなに体を重ねようと。
何したってその笑顔の下に隠した思いを、さらけ出すことも、はたまた消すこともなくて。
ただ、あの時。Aが不慮の事故にあった時。
ぽつり、と零した、その言葉が。
『...わたし、いきてるのか』
ぞっとするほど生に欲のない視線と声色。
自然と涙が溢れた。
退院したその後に、俺はAを隠した。
ずっとずっと、森の奥に。
星も見えない12月の冬空。
空気には雪も交じる、今夜。
入る連絡と、友人の留守電など無視して。
｢A、｣
『とんと、』
あなたって、へんなひとね。
そんな言葉を無視して、彼女の背中に齧り付くように跡をつけた。
______…
背中...確認
※解説
彼女→軽く病み。自分なんて要らない思考が強い
トントン→俺が愛してるのに死のうなんて許さん。
いっそのこと閉じ込めてしまえ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 97人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琴葉(プロフ) - ちぃ汰。さん» いえいえ！！ うん、その時がきたら即読みに行くわ！！w← (2018年10月3日 19時) (
レス) id: d712e3143f (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» ほんとありがとう...『また』があったらよろしくね...w (ボロ泣き中) (2018年10月3日 13時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - ちぃ汰。さん» だって全部素晴らしいなって思えたのはホンマやもん！ううん、載せてくれるのは全然いいよ！寧ろ嬉しかった！！ホント、あんな感じやけどいつでもしに来てね！ (2018年10月2日 15時) (レス) id: d712e3143f (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» ありがとう！本当に琴葉には感謝しきれんのよ！どんな作品でもそうやって褒めてくれるから、頑張って来れたんやと思う！うちも琴葉の作品に会えてよかった！また行く！リクエストする！サプライズなんてものじゃないけど、載せちゃってごめん、でも全部本心だから！ (2018年10月2日 10時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - ちぃ汰。さん» 私の方が、ちぃの更新とかコメにずっと励まされてたよ？ホンマに、こっちこそありがとう！！私の作品見つけてくれてありがとう！あと、私の友達なってくれてありがとうね！また私の方にもリクエストしてな？ちぃならいつでも歓迎やから！！ (2018年10月1日 17時) (レス) id: d712e3143f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちぃ汰。 | 作成日時：2017年12月12日 22時
