ゲシュタルトの祈り【ni】 ページ40
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「ごめんな」
そんな言葉を発しながら、目覚めた。
寝言にしてははっきりと、だがルームメイトに問いかけるにしては小さすぎた声。同室の男には聞こえてしまっていたらしい。
「どんな寝言だよ。」
「……ごめん。」
「まだ夢の中居ンのか。」
「もう覚めた。お前に言ったんだよ。馬鹿が。」
「一本で暴言も含めて許してやるよ。」
懐に隠しておいた、ひしゃげたの箱から煙草を一本取りだしてソイツに放り投げた。パキ、と安っぽい音を立てて折れる、マッチの音で夢を思い出す。
妙に明るい場所だった。白くて寒い。緑のコートを着た、覚えのない人間と共に歩いていた。覚める直前、その手を離してしまったのだ。その事に謝っていた。
雪なんて何処にでもある。緑のコートを着た人間も、何処にでもいるだろう。幼い頃の、心の奥底に眠った、誰かだろう。きっと名前も知らない。
戻らない記憶へのストレスと、気にしたくもないのに出てくる夢の人への嫌悪感に自分も煙草に火をつける。マッチの折れる音は軽くて、随分と安っぽくて、何故か懐かしくて、煙草を不味くした。
ただの毒煙と化したそれを腹いせのように肺いっぱいに吸い込んで、吐き出す。
気分は晴れなかった。
やがて、沈黙がいたたまれなくなった俺は、口を開いた。
「お前さ、マッチを初めて擦った時のこと、覚えてるか。」
内容は取り留めもない、何てことはない、雑談だった。
「俺は結構な坊っちゃんだったから。マッチ一つすれなかったんだ。だが、彼女は片手に大きな何かを抱えながらでも、器用に片手で着火して見せたんだ。彼女にとってはマッチすら高級品だっただろうよ。大切な売り物だったに違いない。でも確かに俺に渡したのさ。」
同室の男は、相槌もせずに黙って聞いている。こちらを見つめる目の鋭さと、長くなる煙草の灰が、彼が真剣に聞いていてくれていることを表していた。俺は満足を覚えて話を続ける。
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ちぃ汰。(プロフ) - 椿・鵯(ひよどり)さん» 今晩は。貴方様の足が再び出向いて下さって嬉しい限りで御座います。お恥ずかしいことに相変わらずの筆運びで御座います。どうか貴殿のお気に召します頁があらんことを。 (2022年6月27日 19時) (
レス) id: 7afb004994 (このIDを非表示/違反報告)
椿・鵯(ひよどり)(プロフ) - お疲れ様に御座います。貴君がお気に召すままにあらせられる事を願っております。また一羽を見られることを密かに思っております。お目汚し失礼致しました。 (2022年6月26日 17時) (レス) @page3 id: 72d1a498da (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» いつもいつもお世話になっております。いつも通りの更新です。相変わらずのマイペースです。それでも宜しければ気ままにお立ち寄りくださいね。お待ちしております。 (2022年6月13日 1時) (レス) @page2 id: 7afb004994 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - Twitterを見たあとまさかと思い立ち寄れば…推し作者様の新作、本当に嬉しいです。更新はゆっくり気ままに、楽しんでお書き下さいませ。いつまでもお待ちしております。 (2022年6月9日 16時) (レス) @page1 id: 7cbb42cb9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぃ汰。 | 作成日時：2022年6月9日 1時
