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『もう、別に感情を思い出したいとは思えないんだ。この仕事をしていると、こちらの方がマシだとも思えてくる。苦しむ患者を見て、何も思いたくない。幸い、笑い方を忘れる訳ではないようだから、周りに不快感を与えることもないようだし。不便でない以上は、心なんて取り戻したくないな。』
彼女を好きになってはいけなかった。好きになる相手を間違えた。
自分の病は治らないだろう。先生が、恋慕を取り戻すことはないのだから。そして、俺ももう、彼女に治って欲しいと思えなくなった。自分を治す為に、先生に辛い思いをして欲しい訳ではないから。彼女の笑顔が1番好きだった。そして泣き顔がみたいわけでもなかった。
感情のない笑顔でも、その顔が1番好ましかった。病なんて治らなくていい。俺も彼女も。自分がどんなに辛くて苦しくて惨めで汚くなってしまっても、彼女の辛い顔や涙を見る方が嫌だった。
「……それでも、治るといいですね。病気であることに、変わりはないのだから。」
締め付けられる胸の痛みに耐えながら、やっとこさで伝えた。
先生は変わらず微笑んで言う。
『貴方だってそうだ。私は医者だから。貴方を治すのが仕事だよ。参考になるように私自身のことを伝えて見たけれどどうだろうか。少しは役に立ったかな？』
先生。あまり残酷な事を言わないで。そう思いながら先生と同じように笑って"嘘"を言った。
「……大変、参考になりました。」
『……そうか、それは良かった。』
先生はすこし疑った様子の口調だったけれど、相変わらず優しげに微笑むだけだった。先生は椅子から立ち上がり、"患者"を気遣って言う。
『今日はもう休むといいよ。疲れたように見える。では、また明日。おやすみなさい。』
「はい、先生。おやすみなさい。」
そうして冒頭のように、言わなきゃ良かったという後悔と、たった今起きた失恋と、治らない病への絶望を行ったり来たりした。
部屋に戻ってからは苦しかった。自分を守るため、先生を守るための嘘が、口から次々と花となって溢れた。どれだけ吐き出しても、心が一向に軽くなる様子はない。噎せ返るほどに花の匂いは充満し、またそれが吐き気を催す。
恋の苦しみから救ってくれる人も、病気を治すことができる人も居ないのに、助けてくれと願いながら、俺は病室で静かに泣いていた。ただただ、最悪な夜を過ごした。
───…
とんでもない長文になりました。
※タイトル抜け落ち失礼しました。
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ちぃ汰。(プロフ) - 椿・鵯(ひよどり)さん» 今晩は。貴方様の足が再び出向いて下さって嬉しい限りで御座います。お恥ずかしいことに相変わらずの筆運びで御座います。どうか貴殿のお気に召します頁があらんことを。 (2022年6月27日 19時) (
レス) id: 7afb004994 (このIDを非表示/違反報告)
椿・鵯(ひよどり)(プロフ) - お疲れ様に御座います。貴君がお気に召すままにあらせられる事を願っております。また一羽を見られることを密かに思っております。お目汚し失礼致しました。 (2022年6月26日 17時) (レス) @page3 id: 72d1a498da (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» いつもいつもお世話になっております。いつも通りの更新です。相変わらずのマイペースです。それでも宜しければ気ままにお立ち寄りくださいね。お待ちしております。 (2022年6月13日 1時) (レス) @page2 id: 7afb004994 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - Twitterを見たあとまさかと思い立ち寄れば…推し作者様の新作、本当に嬉しいです。更新はゆっくり気ままに、楽しんでお書き下さいませ。いつまでもお待ちしております。 (2022年6月9日 16時) (レス) @page1 id: 7cbb42cb9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぃ汰。 | 作成日時：2022年6月9日 1時
