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振り返って見た彼女は正しく月下美人という言葉がぴったりだった。白い月光の中では溶けてしまいそうなほど彼女は頼りなく、儚げに影を浮かばせている。



『ふふ、あのお方こちらのお庭からくすねたのかしらね。近寄り方は下品だけれど目の付け所はなかなかね。私の薔薇の家紋をみて確りと、利用価値があると思ったのだわ。』



Aの価値を彼女の言う通りそのブローチだけだとあの男が本気で思っていたのなら。
それこそ俺はあの男の息の根を止めていたかもしれない。



「、お前もうちょい気いつけや。…あーあ、花束そのまま持ってきとるやんけ。」



『返す暇もくれなかったのは誰かしらね、』




くすくすと笑いながら彼女は、花に罪はないからとするりと花弁をなぞった。細く綺麗な白い指がなぞる姿はまるでワルツそのものだったが、如何せん花をプレゼントしたそいつがチラついて気に入らない。




徐に俺は花弁のひとつを噛みちぎる。ぶちりと口端で嫌な音がするがそれすら構わない。手元に垂れた血で他の花弁をなぞれば、そこには見事な真紅の薔薇があった。



『あら、』


「こっちの方が、綺麗だと思わんか?」



『…そうね。』



少し目を丸くしたが、何でもなかったかのように彼女は愛おしげに赤い薔薇を瞳に宿した。
俺はその花を枝から外し、耳元の髪に差してやる。




「良く似合うとるで。」





俺の口元を拭う彼女は、やはり花の開くように笑うのだった。



__________…



独占欲強めのtnさん。

家紋が薔薇であることを知っていてわざわざ血を流して食べているのが色々と、こう、好きですね。(語彙力)

性癖大爆発の作品でした。

発つ鳥跡を濁さず【cn】→←edible flower【tn】



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ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» 毎度のコメントありがとうございます。お待たせ致しましたことお詫び申し上げます。感想もありがとうございます。期待以上の感想を頂けて言葉もありません。続編前向きに検討しておりますのでどうかその時はよしなに。私もあなたのファンでございます。ありがとちゅき() (2020年5月12日 10時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 夜分遅くに失礼致します。更新の方心待ちにしておりました、そして相も変わらず、否それ以上に素晴らしいお話に胸が苦しく、また切なさが込み上げました。良ければ続編をと思いますが作者様の手が動く限りで構いません。私は何時までも貴方様のファンです。とりますき() (2020年5月12日 0時) (レス) id: fea4b79f15 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - つらら@ちゃげっ娘。鬱紺色 逆音さん» とんでもございません、しっかりと寝てましたすいません...。ありがとうございます...。勿体ない言葉...。 (2020年1月28日 8時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
つらら@ちゃげっ娘。鬱紺色 逆音(プロフ) - 夜分遅くに大変失礼でしょうが...これだけ...好きです。 (2020年1月28日 3時) (レス) id: 9e136fef77 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 夢川さん» いえいえ、全く気にしておりませんのでそんなにお気を使われないでください!感想頂けてとても嬉しいです。星の子一家に一人要りますよね笑 こちらこそリクエストありがとうございました。よろしければまたリクエストしてくださいね。(お仲間でしたか笑) (2019年11月5日 20時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちぃ汰。 | 作成日時:2019年10月6日 18時

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