○*+君色+*○【K.Ninomiya】 (ページ9)

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＊8 出逢いページ9

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「……、遠いな……」

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あの綺麗な病室を探して階段を上ること、しばらく。

本当はエレベーターに乗った方が1番早いんだけど…、私は乗らなかった。

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…感じたかった。

自分は、今を生きてるって。

一歩一歩、歩けてる自分はちゃんと、このセカイで生きてることを。

「……、ふ……ぅ…」

最後の階段を上り終えると、9階だった。

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「ちょっと…休憩……」

少し無理をし過ぎたのか、吐き気がする。

頭も痛い。…視界がぼやける。

私は近くに座る所がないか探す。

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…すると、向こうから誰かがやって来る。

…私に向かって来てる……？

多分、男性。看護士さんではなかった。

☆「…すみません。友人の病室を探してるんですけど…」

彼は少し言葉を選びながら、私に尋ねた。

「…、…何階ですか？」

私は吐き気を我慢しながら、彼に聞く。

☆「っと……確か、12階です」

12階？

何か確信が持てない言い方だけど…

私の行きたい病室と同じ階で。

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「じゃあ……案内、します」

☆「…え」

つい、こんな言葉を発してしまった。

自分も迷ってるのに、一体何言ってるんだろう…バカだ。

「ついて来て下さい、…」

☆「、はい。お願いします…ありがとうございます。助かります」

彼は少し嬉しそうな顔をしながら私に言った。

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なぜ、私はこの場所から離れなかったのか。

看護士さんに頼めば済む話だったのに。

それはきっと……

心のどこかで、彼から離れたくなかったからかも知れない。

ーーこれが、私と彼との初めての出逢い。

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“Aちゃん”

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何も変わらなかった、毎日が同じだった…

私の人生を変える、最初で最後の。

奇跡の、出逢いだった。

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