＃６２ ページ22
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「───さん、キラさん！聞いてますか？」
『えっ！？』
人参の表面に刃を滑らせて無心で皮をむく私に、麗日さんが声をかける。
『えーっと…』
「人参剥けたら切るので渡して下さいね！って言ったんですけど…」
『わ、分かった！！』
慌てて彼女の言葉に頷いて意思を示す。
…まずい。
この個性を生業にしていれば痛いほど分かる。
貧血だ。
今日の基礎学で個性乱発し過ぎたかな。
最後まで人参の皮を剥き切って、次のカットの段階を麗日さんに預ける。
共用スペースのソファの脇に放置していたであろう自分の鞄を目掛けて、覚束無い足でキッチンを出る。
記憶通りの場所に置かれていた鞄を漁って、鉄剤を取り出す。
コロっと軽快な音と共に飛び出してきたのはたったの一粒。
『…えっ。』
「え？どうかしましたか？」
思わず漏れた困惑と焦りの声に、瀬呂君が反応する。
慌ててなんでもないよ、と返すと再び机の方に視線が戻っていく。
合わせて私も手のひらに視線を移す。
……嘘だ。
鉄剤切れた？
これが無いと仕事以前にまたぶっ倒れて、リカバリーガールと相澤先生に怒られるのが目に見えているのに。
後で買い出しするか…もしくはホークスさんに朝お弁当と一緒に持ってきてもらうように頼むか…
そんなことを考えながら最後の一粒を飲み込んで、空の鉄剤の袋をぐしゃりと手の中で丸める。
やらかした、とぼんやり考え事をしながらキッチンに戻ろうとすれば、見事に角で誰かと衝突する。
『おわっ…』
こちらが情けない声を出したのにも関わらず、相手方は一切声を出さなくて。
ふと顔を上げて、その人物を確認する。
『…あ、あーー、爆豪君…
だ、大丈夫？痛いとこ…なんて無いよね………』
「………」
沈黙が気まずくて、壁に手を添えながら通り過ぎようとする。
「おい」
何を思ったのか、たった一言で引き止められる。
「作りてぇもんはなんだ」
『…え？』
「作んだろ、弁当」
えっ、と困惑を続ける私に、はよ言え、と催促してくる。
『か、唐揚げと卵焼き…』
「少ねぇだろ」
他は？と少々イラつきながら聞いてくる。
あんまり何を詰めるかなんて考えていなくて、言葉に詰まってしまう。
「…カレー多めに作ってそれ詰めるとかでちったぁ様になんだろ」
『えっ？』
「鍋火着けんの待っとけ」
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Kさん - 心臓もたん (11月20日 22時) (
レス) @page31 id: 3281584211 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - きらちゃんかわいい‼ (2023年2月27日 14時) (レス) @page28 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - もー夢主ちゃんたら素直じゃないんだから！！！！ (2023年2月27日 1時) (レス) @page28 id: ce509c1850 (このIDを非表示/違反報告)
すみこ(プロフ) - みーちゃんさん» 一気に！だらだら書いてるのでお時間かかったでしょうに…！ありがとうございます〜！♡ (2023年2月18日 22時) (レス) id: 7cd7c91a19 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん - めちゃめちゃ最高でした！更新頑張って下さい！一気に読み返してしまいましたw (2023年2月17日 22時) (レス) @page27 id: d37bd93381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみこ | 作成日時：2023年1月16日 22時
