ぼくはどこにいればいい 2 ページ41
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宿舎に帰ってすぐ、かつてAの部屋だった場所に直行し、ドアを閉める。
殺風景になった部屋には、ベッドと本棚だけがあった。本棚は空っぽで、たくさん詰めてあったCDや本はほぼなく、殺風景だ。
あまり広くはないけれど、陽当たりの良いこの部屋。部屋決めの際にAがここがいいって言ったんだ。太陽の光に満ちた部屋で、あたたかい香りのするAのこの部屋で、とりとめのない話をするのが好きだった。
俺はルカが宿舎から消えてしまって、多くの時間をここで費やしている。
もはやここには、ルカの香りすら残っていないというのに。
あの日、脱退が決まった日、マネージャーの口から脱退が告げられた日。
Aの腕を掴む俺の手をほどいたのはA自身だった。置いていかないでくれと言った俺に、Aは言った。
LC「置いて行ったのは…本当にわたしだったのかな」
Aのあんな顔を見るのは初めてだった。少し前まで何も言わなくても手に取るようにわかったAの感情が、さっぱり分からなかった。分からないということが不安で仕方がなかった。
けれど、心のどこかでは分かっていた。こんなにAへの執着を未練たらしく心に溜めているくらいだったら、もっととことん執着して、Aを絶対に離さないでいておくべきだった。『PRODUCE101になんか出なくていい』『Aを犠牲になんかしなくていい』−−−どれも、いつものわがままを言う調子で、Aにせがむことができていたら。言うべきことに気付くのは、いつだって少し遅い。
けれど、そんな顔を見たら、絶対に離したくないAの腕を、話さないわけにはいかなかった。正直、力が入らなかったし、分からないAの瞳を見ているのがこわくて、でも分かりたくて、何か言わなきゃいけなかったのに喉が詰まって、手を離したくなくて、離さなきゃいけなくて。
目を閉じて浮かぶのは、ジュホンヒョンに支えられるA。俺を見ないA。
見たくもない姿のはずなのに、ぼんやりとした暗闇の中で、浮かび上がるその姿しか光源は無い。それを追いかけなければ進めない。息が苦しくても、足が痛くても、Aの背中を追いかけなければ。自然と生暖かい涙が頬を濡らす。
ほら、やっぱり置いて行ったのは、Aの方じゃないか。
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ぴょん(プロフ) - ミンギュはいいやつすぎるし、主人公のファンミにこそこそ行こうとするメンバー、君らが悪いのにどうしても可愛すぎる、最高です (2022年9月23日 0時) (
レス) @page47 id: 0051795449 (このIDを非表示/違反報告)
綾部(プロフ) - 1日かけてじっくり読んでしまいました。更新される日を待っています。 (2022年8月11日 22時) (レス) @page47 id: 1ca0875e76 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 一気に読んじゃいました。また更新される日が来る事を願っております。執筆してくださりありがとうございます。 (2022年1月4日 0時) (レス) @page47 id: 3160d2b695 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 椎名さん» まさかお返事来るとは思っていませんでした、、、ゆっくりで構いませんので無理はなさならいでください、！ (2021年7月3日 1時) (レス) id: 6da38b2df1 (このIDを非表示/違反報告)
椎名(プロフ) - 雫さん» 更新、非常に遅くなっていて申し訳ありません…！！ (2021年7月2日 23時) (レス) id: ecff8741cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椎名 | 作成日時：2018年3月28日 20時
