ぼくらどこへだって行こう ページ31
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YH「俺たち、一緒に逃げてしまおうか」
ヨンホとそんな話をしたことがある。確かわたしはあの頃、プレディスに来て数ヶ月。女子練習生の中に友達が出来ず、SMから来たというだけで羨望や嫉妬、勝手な期待を含んだ目で見られ、練習するのも嫌になっていた。
そしてなにより、SMを退社しプレディスに入社することになったということに、ひどく落ち込んでいたのだと思う。わたしにそれが告げられたときはもう決定事項で、f(x)にもRed Velvetにもなれなかったわたしには選択する余地は無かった。
同じくEXOとしてのデビューを逃したヨンホとわたしは似ていた。完全に自分というもののありかたが迷子だった。ばったりと、通い慣れたSMの近くのカフェで偶然に再会したヨンホと、ひととおり近況を報告し終えたら、ヨンホはそう言った。
LC「ヨンホと、二人で？」
YH「そう。Aは逃げたくない？」
普段のわたしなら「何を言ってるの？」と笑い流していたであろうそのヨンホの提案。笑わせよう元気づけようとしてくれたヨンホの優しい冗談。だけどわたしはあの時気付いたら、その提案に頷いていた。それはヨンホの疲弊しきった瞳が、近頃毎晩鏡で見ているものと同じだったからかもしれない。
LC「……うん。逃げる。ヨンホと一緒に逃げるよ」
包容力のあるヨンホに微笑まれると、どこへでも逃げられるような気がした。
とはいえ、同じくアメリカに家族がいるわたしとヨンホには、逃げられる場所なんて無かったのだけど。わたしたちは幼いながらにバックパッカー用の安いゲストハウスを予約し、バッグに最低限の荷物を詰め、退社するつもりで、逃げようとしていた。本気だった。
それでもあの時は、結局、セフンオッパに説得されて逃亡を諦めたのだった。デビューして忙しいスケジュールの中大慌てでやって来たセフンオッパを見ていたら、なんだかどうでもよくなって、ヨンホと二人で笑ってしまった。そうしてその後泣いたんだっけ。
でも今回は、セフンオッパは協力してくれる側なんだね。高級そうな車にわたしの荷物を運び出していく背の高い二人、ヨンホとセフンオッパ。二人の背中は昔よりも広くなっている。
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ぴょん(プロフ) - ミンギュはいいやつすぎるし、主人公のファンミにこそこそ行こうとするメンバー、君らが悪いのにどうしても可愛すぎる、最高です (2022年9月23日 0時) (
レス) @page47 id: 0051795449 (このIDを非表示/違反報告)
綾部(プロフ) - 1日かけてじっくり読んでしまいました。更新される日を待っています。 (2022年8月11日 22時) (レス) @page47 id: 1ca0875e76 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 一気に読んじゃいました。また更新される日が来る事を願っております。執筆してくださりありがとうございます。 (2022年1月4日 0時) (レス) @page47 id: 3160d2b695 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 椎名さん» まさかお返事来るとは思っていませんでした、、、ゆっくりで構いませんので無理はなさならいでください、！ (2021年7月3日 1時) (レス) id: 6da38b2df1 (このIDを非表示/違反報告)
椎名(プロフ) - 雫さん» 更新、非常に遅くなっていて申し訳ありません…！！ (2021年7月2日 23時) (レス) id: ecff8741cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椎名 | 作成日時：2018年3月28日 20時
