立ち止まってきみを見る 2 ページ33
SC side
気がつくと見慣れたテレビ局の廊下にいた。
Aはよく迷子になるし、男性アイドルから下心で声をかけられるし、妬みからちょっかいをかけられることもあるし、一人で歩かせるのは心配で、いつも俺が着いて歩くか、Aを見つけてやっていた。
俺を見つけたときに安心したように眉を下げて笑うその顔が好きで、いつも探しに行ってしまうんだよな。「スンチョルなら見つけてくれると思ってた！」とか調子の良いこと言うAを小突いて、手を繋いで楽屋に帰るんだ。
そうだ。Aを探さなきゃ。またあいつは迷子になって、俺のことを探してるはず。
人が行き交い、荷物もあちこちに積まれ狭い廊下で、Aを探す。少し先に、人に埋もれながらも隙間にAの横顔が見えた。大きな声で名前を呼ぶと、つやつやした髪を翻して振り向いたAは俺と目が合ってにっこり笑った。「スンチョル！」と元気に俺の名前を呼んで返事をし、俺がそっちに行くのを待っている。ため息をつきながらAのもとに小走りした。
SC「また帰れなくなってたんだろ？」
LC「へへ…ちょっと自販機に行きたかったの」
SC「俺が来なかったらどうするんだ？」
LC「スンチョルは絶対わたしのこと探してくれるじゃん。わたしもスンチョルの声なら絶対聞こえるから、それで帰れるでしょう」
また生意気なこと言ってる。悪びれずにこにこするAだけど、日頃メンバーの世話をしているAを世話するのは俺の特権なんじゃないか？と思うと気分も良くなるから不思議だと思う。
渋々、という顔を作り手を差し出すと、Aがまた笑って俺の手を掴もうと、
DK「ーーーヒョン！起きてください！」
SC「…………は？」
DK「もう宿舎着きますよ」
ここは車内で、俺の隣は空席で、俺の右手には何もなかった。ああ、そっか、夢なのか。そりゃそうだよな、Aが俺にあんな風に笑ってくれること、今じゃもうありえないだろう。
どうしたら戻れるのかな。俺はどうすればいいんだろう。Aに教えてほしいけど、聞くこともできない。
ぼんやりと夢の記憶を思い出す。果たして俺は、今でもAを見つけてやれるんだろうかと考えた。
なあ、A、今日Aが夢に出てきたんだよ。そんな風に朝起きて、台所で朝食を作るAに言ったら、笑ってくれるのか。いや待てよ、いつから俺はAと朝食をとってないんだっけ？
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コノシ??(プロフ) - このお話本当に大好きでもう3周目です（泣）毎回切なくて涙が止まりません、、泣 こんなにいいお話を書いてくださってありがとうございます！！泣泣 (2019年10月24日 16時) (
レス) id: 8f50ae73cd (このIDを非表示/違反報告)
uni(プロフ) - この作品が好きなので結末まできちんと見届けたいです。これからの椎名さんの作品も見たいと今の作品を読んでいて思っています。よろしければ続編のパスワードを教えて頂けたら幸いです。 (2018年3月29日 21時) (レス) id: 32a2e286ef (このIDを非表示/違反報告)
bbbbbbbbbbbbxbc(プロフ) - ほんとにこの作品が大好きで最近の楽しみでもありました。パスワードよければ教えていただけないでしょうか（；＿；） (2018年3月29日 20時) (レス) id: 14b2a82e33 (このIDを非表示/違反報告)
vanilla060(プロフ) - 続き楽しみに待ってます。 (2018年3月29日 20時) (レス) id: 322d68ed9d (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - もし良ければ私もパスワード教えて欲しいです(>_<) (2018年3月29日 20時) (レス) id: d3c015137c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椎名 | 作成日時：2017年6月27日 13時
