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一方で女は、ぼぅっと空を見上げていた。部屋に散らかるのは、紙と本と鉛筆。それだけしか無い。家具などは一切無く、ただ殺風景な部屋が広がっていた。

女__淡海芳は、一昨日引っ越して来たばかり。前は東京に住んでいたが、空気が合わなくて、一年も持たずここに引っ越して来た。だから、こんなに殺風景なのだ。

本当なら、布団や文机を今日にでも見繕う予定だった。だけれども、全財産を無くした今、家具どころか明日の朝餉さえ怪しいのだ。もう呆然とするしかない。

「……」

ふわふわとした雲を見つめていると、その白さにふ、と昨日の彼の事が思い出される。触れた手も、体も傷だらけだったが、見た目と反して、言葉の奥には優しさが籠っていた。流石に、声をかけて来た時は面喰らったが。

赤く染まる頬をパンと叩き、よしと立ち上がる。明日の朝餉も、傷だらけの彼も大事だが、自分はそれ以上にしなくてはならない事があるのだ。

昨日必死の思いで手に入れた、カステイラ二本と贈答用の紙袋、それと数枚の紙を持って、外に出た。そう、引っ越しして来たのだから、引っ越しの挨拶に出掛けなければならない。意気揚々と、草履をつっかけて外に出た。

まずは右隣からだ。自分とさほど変わらない大きさの家の扉を叩く。すると、ちょっと待ちな、とキビキビした返事が中からした。扉が開いて、おばあちゃんと呼ぶにはいささか元気な女性が出て来る。

「お隣さんかい?ご引っ越しの挨拶かね」

こくん、と首を振り、カステイラと共に紙を渡す。何だい、と言ったお隣さんは、その紙に目を通して、おやまぁ、とまた言った。

「療養のため、ねぇ。喉の調子が悪いのか。何かあったらすぐ言ってきな。婆がすぐ駆けつけてやろう」
「……、」

頷けば、一人で住んでいるのかい、と聞かれ、また首を振った。世話人が必要な怪我などはしていないから、病院からも特に何も言われなかった。

「夜道には気をつけなよ。この辺り、犬が凶暴で人を襲うのさ。若い女の子一人歩きなんざ、格好の的さ」

今後ともよろしく、と互いに軽く挨拶し、敷地を出てからふぅ、と息を吐いた。途轍もなく疲れる。それに、あの女性は文字が読めたから良かったけれど、出生によっては読めない人もいるのだ。そうなると、意思疎通が全くと言っていいほど取れない。

まだ左隣の挨拶が終わってない。はぁああ、と言葉の代わりにため息を吐いた。

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作品ジャンル:アニメ
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- もう一度言いますが貴方のしていることは10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金が下される犯罪です。それでも消されない場合は直接サイトの管理人様にメールを送りますので早めの対処をよろしくお願いします。 (2021年1月5日 16時) (レス) id: db6764532b (このIDを非表示/違反報告)
- コメントを読まれていないのか知りませんが作品を消されずまたコピペで更新されているようなので違反報告をしました。私は元作品がとても好きなので自作発言、無断転載と著作権を侵害しているこの行為を非常に腹立たしく思います。 (2021年1月5日 16時) (レス) id: db6764532b (このIDを非表示/違反報告)
- 検索から気になって見てみましたが内容が全く同じ作品を見たことがあります。元作品がとても素晴らしいものだということでこんな事をしてしまったのでしょうが作者様に許可はとられていますか?盗作は立派な犯罪ですので許可を得てない場合は早めに消して下さい。 (2021年1月4日 22時) (レス) id: db6764532b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まかろんっピ | 作成日時:2021年1月4日 16時

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