深淵に沈む (ページ23)

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慎太郎side

おれ達の前に1歩出て差し出された手を握りかえしたこーち

そんなこーちの口から発された言葉

勿論、ジェシーから既に事情を聞いてたんだ。ただカマかけただけ

ジ父「…仕事は海外でしているもんでね、中々日本に戻ってくること自体ないんだよ」

優「それなら、ジェシーのお母さんはどうなんですか？」

ジ母「…あ、私は主人のサポートの為に海外へ一緒に行っているの」

優「……そうでしたか、すいません質問ばかりしちゃって。いや、高校に入学してすぐ仲良くなって家に何度もお邪魔させて頂いてたんですけど、1度もご両親を見たことがなかったので」

樹「俺らも不思議で、少し心配してたんですよ。けどそういう事なら仕方ないっすよね」

こーちの質問攻めに少し険しい顔をして少しの間の後に答えた2人

動揺してんのみえみえだっての

その後のこーちと樹の言葉を聞いて、安心したような顔を見せた2人はジェシーに目を向けた

ジ父「ははは、こんなに良い友達がいてくれれば私達も安心だよ。そうだ、ジェシー今日は早く帰ってきてくれないか？」

ジ「え、あ、」

ジ母「久しぶりの再会なのよ、せっかくなんだもの家族水入らずでお食事しましょ」

戸惑うジェシー

母親の言葉には、おれ達に対する牽制みたいなものが含まれてる気がした

ジェシーは怯えた様子だったものの、大我が口を開こうとするのを遮って

ジ「わかった！すぐ帰るよ！」

そう言った

それを聞いたおれらは動揺が隠せない

なんでそっちに行くの

おれらじゃ頼りねぇの？

あんな事を聞いて、知っちゃって

それなのに、簡単にはいそうですか、なんてジェシーを見送るなんてことできない

『ちょ、』

咄嗟に引き止めようと口を開こうとした

しかしそれは隣に立つきょもの手によって阻まれた

意味がわからず、おれだけじゃない、みんなもチラリときょもに視線を送った

当の本人は

大「そうだね、楽しんでジェシー」

そう言ってジェシーを見送ってしまった

結局止めることもできず、ジェシー達の背中が見えなくなった所で腕を振り払う

『っどういうつもり！？』

いてもたってもいられず責め立てるようにきょもに問いかけた

大「今はまだだめ。一旦俺んち行こう、そこでちゃんと話そう」

いつになく真剣な顔にきょもにも思うことがあるんだってわかった

ただ、手放したわけじゃない諦めたわけじゃない

そうだよね？

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