深淵に沈む (ページ17)

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樹side

この時期から始まる水泳の授業

うちの学校は選択制で持久走か水泳か選ばないといけない

もちろん俺らは水泳のつもりだったけど

体力がそこまであるわけじゃないきょもが頑なに水泳を拒否って

みんなきょもは何か訳ありだって分かってたから一緒に持久走をすることにした

今になっちゃ確かに水泳なんてできねぇよなって思うわ

普通にきょも泳げないけど

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いつものようにお昼ご飯を食べに屋上へ向かう

慎「やっと飯食えるー！」

優「慎太郎の腹の音やばかったよね」

『バスケしてる時とか死にそうだったしな』

大「怪獣いるのかと思った」

慎「おーい！誰が腹の音お腹空かせた獰猛な怪獣のうなり声だ！」

北「そこまで言ってないんだけど」

いつもの定位置に座り、みんなで手を揃えていただきますをする

『お！北斗きょー手作り弁当じゃん！』

ジェ「北斗のからあげ好きなんだよねー…いーなーおいしそー」

慎「おれ、北斗の作る甘い卵焼きすきなんだよな〜い〜な〜」

『俺も、この肉団子好きなんだよなあ〜いーなー』

北「あーもう、はいはいわかったわかった」

北斗が自分で弁当を作ってくる日は、いつもこうやって交換こしてる

だって美味いんだもん。北斗の飯

優「お前らこじんなよ！！」

なんて言ってるけどちゃっかり優吾だって交換こしてんじゃん

北「はぁ、京本は？どうする？」

大「じゃそのトマトのサラダ1口ちょーだい」

北「はい、どーぞ」

大「ん、うまい」

いやなんか見せられてんだけど

え、俺ら夫婦のイチャイチャ見せられてる？

きょもは俺んだけど？

いや、俺がきょものなんだったわ

ちゃっかりきょもにあーんなんてして食べさせてる北斗は満更でもなさそうにちょっと照れてる

その証拠に目合わせないし、耳赤くなってるし

『おーい！イチャイチャすんなよ！』

ここまでが大体いつものお決まりみたいなもんで

飽きもしねぇで笑う

屋上ではカーディガンを脱ぐようになったきょもは目に毒だ

なんせそんな綺麗な顔してなかなかに厳ついんだもん

ジェ「あ！そう言えばオレタトゥーの腫れ引いてもう痛くない！」

バッとシャツを上げたジェシーの脇腹はもうどこも腫れていない

綺麗に赤でグラデーションされたダイヤモンドと音符

結局あの日、どこに入れるかってなって皆が同じ場所に同じサイズで入れることにして

これを見るたびに心がぶわってあったかくなるんだ

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