第八十話 ページ30
その後は、よく覚えていない。
多分普通に喋ってたと思うけど・・・
気付いたら家に帰ってて、あんずが俺の膝の上で寝てた。
嘘みたいな話だけど、これは本当の話。
それぐらい意識がある一定の考えに集中し出たんだと思う。
"Aちゃんが俺の事を好き"
頭をフル回転させても彼女の気持ちを理解出来なかった。
どこで?何で?何が?・・・良かったんだろう。
気持ちは嬉しい。
誰かにこの事を聞いて欲しいぐらい。
でも、自分の気持ちは・・・
彼女が言ったように恋愛対象としては見てなかった。
もちろん、相手もそう思ってるだろうって思ってたし
友達ではないかもしれないけど
弟のような姉のような・・関係性。
俺にとって彼女は憧れ=好きでは・・・ある。
ただ、それは人として・・・って意味。
あぁぁぁぁぁーわっかんねっ。
と、混乱状態の中でサマステがスタートし
少年たちの稽古も少しずつスタート。
落ち着いて考える時間もなく連日、体力消耗。
今年も秒で夏が終わりそうだ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
この所、先輩達に囲まれて過ごしてたせいか
楽屋は騒がしい男子校の様に思える。
樹「きょもー!」
「なにー」
樹「AさんTV出てるー」
高「本当だ」
「・・・あぁ、もうそんな時期か」
ジ「凄いよねぇ。ずっと舞台続きで」
慎「台詞とかどうやって覚えてんだろ(笑)」
北「同時進行も普通なんだろうね」
「大変だと思うよ。それはそれで」
Aちゃんが出演する舞台の初日映像が流れ
楽屋は彼女の話題で持ちきりに。
高「ふは、お前他人事じゃん」
「別にそういうわけじゃ」
樹「きょもはさ、Aさんと会ったりしないの?」
「たまに・・会うよ」
慎「マジ?」
ジ「初耳〜」
「忙しいからね。頻繁じゃないけど」
北「何話すの?」
「何って仕事の事とか」
高「大我にとってAさんって憧れの存在なわけじゃん。よくそんな人と飯食えるよね(笑)」
樹「緊張して食えないわ、俺(笑)」
北「俺も」
緊張して・・か。
確かに一年前の俺ならそうだったと思う。
でも、今は緊張・・・しない。
むしろ、彼女との時間が心地良いとさえ感じる。
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作者名:しぃ | 作成日時:2023年10月6日 20時