第七十七話 ページ27
まともに眠れるわけもなくソファーで一夜を過ごし
ずっと携帯を握りしめる彼女の肩を抱きながら朝を迎えた。
「連絡は?」
『今のところ・・・ない』
「分かった」
『ごめんね』
「いいって、気にしないで」
『んっ』
「俺ホテル戻ってるから、また連絡して」
『分かった』
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ホテルに戻るも、気が気じゃない時間を過ごした。
彼女からの連絡をひたすら待つだけ。
祈る事しか出来ない。
どうか、神様・・・
彼女から大切人を奪わないで。
♪♪♪♪
「もしもしっ」
『もしもし「どうだった?」
『ん、、まだ・・・意識は戻ってないけど・・』
「・・・」
『2、3日で戻ると思うって言われた』
「良かったぁ・・・今、お祖父さんに誰かついてるの?」
『うん、両親がついてくれてる』
「そっか、、」
『大我っ』
「ん?」
『本当に・・・ありがとうっ』
「ううんっ」
『私、明日の朝帰らなくちゃならなくて』
「明日の朝か・・・」
『・・・帰りたくないんだけどね』
「・・・そりゃそうだよ」
『でも・・・帰らなきゃ』
「・・・」
『じゃないと、おじいちゃんに怒られちゃう』
「Aちゃん・・・」
『こんな事で周りに迷惑かけるんじゃないって』
「お祖父さん、厳しい人だもんね」
『・・・覚えててくれたんだ』
「覚えてるよ、全部」
『んっ』
「お祖父さんがAちゃんを応援してるって事も」
『大我っ・・・』
"ありがとう"
何度も何度も俺に伝えてくれたAちゃん。
良かった。本当に。
まだ安心出来ないかもしれないけど、きっと大丈夫。
大丈夫だよ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
翌日の午前の便で東京に戻った彼女から
連絡があったのは二日後。
お祖父さんの意識が戻り回復も順調で
このまま行けば二週間で退院との事。
電話越しでも分かる嬉しそうな声。
この二日間、敢えて連絡せず
待ち状態だった俺にとっても嬉しい報告だった。
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作者名:しぃ | 作成日時:2023年10月6日 20時