第七十六話 ページ26
「病院には・・・『行った』
『怖くて・・・帰って来ちゃったの』
「そんな事が・・・あったんだね」
『うぅっ』
"まだ辞めちゃダメなんだって思ったし
Aなら大丈夫っておじいちゃんが凄い応援してくれてね"
彼女にとって、大切な人という事。
失いたくない人だという事。
そんな大きな存在を失うかもしれない。
怖くて当然だ。
気持ちに寄り添う事は出来ても言葉が出てこない。
ただ、抱き締める事しか・・・
『明日・・・また・・・病院に行く』
「・・・」
『心配かけて・・・ごめんね』
「ううん」
『びっくりした・・・でしょ』
「したけど、Aちゃんの方が驚いただろうし」
『んっ』
「今、どんな状態なの」
自転車とバイクの衝突事故。
自転車に乗ってたお祖父さんが跳ね飛ばされ転倒し頭を強打。
そして、今も意識が戻らない・・・・と聞かされた。
「・・・明日・・・何時に病院行くの」
『午前中・・・』
「一緒に・・・行こうか？」
『大丈夫だよ、ありがとう』
そう言って、俺から離れる彼女は微かに震えている。
こんな時まで強がる必要はないのに。
誰かに助けを求めていいんだよ。
俺を必要としてくれたみたいに。
「Aちゃん」
『・・・』
「俺明日オフだから」
『・・・』
「ここにいる」
『えっ』
「だから・・・少しでも休まないと」
『何言って・・・「このままずっと起きてるつもり？」
『・・・』
「大丈夫」
『大我・・・』
「一人じゃ耐えられない・・・違う？」
『・・・・んっ』
「こんな時ぐらい甘えたっていいんだよ」
「俺がここにいて今の状況が変わるわけじゃないのも分かってる」
「でも、Aちゃんを一人にしたくない」
『・・・ありがとうっ』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 235人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しぃ
| 作成日時：2023年10月6日 20時
