第七十四話 ページ24
付き合ってるなら、教えて欲しかった。
話す必要が無いことも分かってるけど
今日に限って、優君も育さんもいない。
敢えてこの日を選んだとか?
落ち着けー・・・
余計な事考えちゃダメだ。
今から舞台なんだよ。
切り替えろ、俺。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
特にミスやハプニングも起こる事なく
舞台を終えて、早速さと楽屋に戻った。
もうすぐ、Aちゃん達がやってくるはず。
出来れば観劇後の盛り上がりに乗じて帰りたい。
と言うのも、俺しか知らないこの状況が・・・気不味いだけ。
「大我〜」
「芳雄さんっ、お疲れ様ですっ」
「早いね、もうシャワー浴びたの?(笑)」
「はいっ、あのマツさん達はもう来られたんですか?」
「来てるよ〜あ、でもAちゃんは急用で帰ったけどね」
「・・・帰った?」
「そうそう」
帰ったって・・・
なんだよそれ。
彼女に抱いた事のない
苛立ちの様な感情が湧き上がる。
勝手に喜んで、落ち込んで、苛立ってさ。
俺・・・馬鹿みたいじゃん。
ホテルに戻り、ベッドに倒れ込んだ。
考えたくない
考えたくないのに
彼女の顔が浮かんでどうしようもない。
掻き消す様にイヤホンを携帯に繋げて
音楽を流してみても・・消えてくれない。
俺にとって彼女はどんな存在?
彼女にとって俺はどんな存在?
握り締めていた携帯から伝わる振動に顔を上げると
画面にされた名前に心が揺れた。
着信:Aちゃん
きっと、昨日の俺なら喜んで電話に出たと思う。
でも今は・・・・まともに・・・話せそうもない。
それなのに見て見ぬ振りは出来なくて画面に触れた。
「もしもし」
『た、大我?』
「ん、、どしたの?」
『今日はごめんね』
そんな事で電話して来たの。
と、可愛げの無い言葉が出そうになるのを抑えて
「ううん。気にしないで」そう伝えた。
『そっか』
「電話じゃなくても良かったのに」
『そ、そうだよね、、ごめんっ』
「いや、別にいいけど」
『・・・んっ』
「オフなんだからゆっくり楽しんで」
『・・ありがとう』
ん?声が・・・・震えてる?
明らかに様子がおかしい。
「何か・・・あった?」
『何もないっ』
「いや、あるでしょ。おかしいもん。どうしたのっ」
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作者名:しぃ | 作成日時:2023年10月6日 20時