【憧憬の愛】第二幕 (ページ23)

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第七十三話ページ23

答えを導き出せそうな事は起こらず
月日は流れ、カンパニーは博多座へ。

博多座公演初日から数日が経ちホテル生活にも慣れた頃。

♪♪♪♪

［画像］｝
｛え？福岡？(笑)
そう！｝
｛オフ？いつ来たの！？
オフだよ｝
一昨日！｝
｛観に来れる感じ？
うん。明日挨拶行くね｝
｛みんな喜ぶよ！
差し入れにでしょ〜？｝
｛それだけじゃないって(笑)

彼女が観に来てくれる事になった。

一人で来たのかなぁ。
どこ泊まってるんだろ。

明日会った時にでも聞けばいいよね。

せっかくのオフなんだし楽しんで欲しい。
そう思って、敢えて返事をせず大人しくベッドに入った夜。

翌日、楽屋入りして化粧に取り掛かろうとした時
スタッフさんの声掛けにアイライナーが床に落ちた。

"Aさんと尾上さんから差し入れ頂きました！"

えっ・・・Aちゃんと・・・・松也さん？

「あのっ」

「？？」

「お二人一緒に来られてるんですか？」

「みたいですよ〜」

何で？

その一言しか頭に浮かばない。

てか、何でこんなショックなんだろう。

Aちゃんと松也さん。

二人の名前が頭の中をグルグル回ってる。
おかけで、いつもの倍化粧に時間がかかった。

二人が付き合ってたって
知ってる人は恐らく優君と育さんのみ。

過去形ではあるにしても
二人揃って博多座まで観に来るだろうか。

いや、そもそも過去形じゃなかったりして。

復活？？的な事？

『大我〜来たよ〜』
「ブッゴホゴホッ」
『だ、大丈夫？(笑)』

「の、ノックぐらいしてくんないっ」
『ごめん。開いてたからついっ』

「おお〜京もっちゃん久し振りっ！」
「ま、松也さん・・・お久し振りです」
「元気そうだね」
「お陰様で何とかやってます」

『そうだ、差し入れ見た？』
「まだ見てないけど」
『そうなんだ。後で食べてね。美味しいやつ選んだから〜』
「あれヤバいよ。俺自分用に買ったぐらいだし」
『買ってたねぇ。二箱も(笑)』
「そうそう」

二人のやり取りは、どこからどう見てもカップル。

『それじゃ、そろそろ行くね』
「頑張って！」

「ありがとうっ・・・ございます」

エスコートする松也さんに動じる事もないAちゃん。

「・・・・お似合い・・・だったな」

一人残された楽屋で、ポツリと心の声が漏れた。