第五十三話 ページ3
会場を出てこの感情の辿り着く先を考えていた。
やっぱり松也さんはまだー・・・
『大我？』
「あ、・・Aさんっ」
『Aちゃんって呼んでくれないんだ？(笑)』
「ここどこだと思って『はは、ごめんごめん』
「戻らなくていいの？」
『ちょっと、散歩中？』
「主演さんが何やって『会場の隣に』
「え？」
『バルコニーがあるんだって』
「・・・・」
『行ってみる？』
『すっごっい風っ』
「飛ばされそうなんだけど」
『前髪で前が見えない(笑)』
会場をこっそり抜け出して隣のバルコニーへ。
夜景が綺麗なのは分かるけど、風が強すぎてそれどころじゃない。
『あ、ここなら大丈夫そう』
「ほんとだっ」
『・・・打ち上げ楽しめてる？』
「うん。さっきまで芳雄さん達と一緒にいた」
『そっか。なら大盛り上がりだね』
「Aさんは？」
『楽しいよ・・・・でも』
「ん？」
『寂しいなぁ』
「・・・・」
『意外みたいな顔しないでよ(笑)』
「いや、だって。慣れてるもんだと」
『慣れてはないかな』
「半年ぐらいだもんね」
『うん。特にエリザは長かったから』
「思い出も『多いよ』
「Aさん」
『ん？』
「千穐楽終わってから、俺も寂しいって思った」
『・・・』
「みんなに会えなくなるのもそうだし。何か目標が・・・無くなった気がして」
『目標？』
「ん、舞台をやり遂げる事が俺の中でゴールで、そのゴールを迎えて、これからどうしたらいいんだろうって」
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作者名：しぃ
| 作成日時：2023年10月6日 20時
