【憧憬の愛】第二幕 (ページ11)

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第六十一話ページ11

東京宝塚劇場

扉の向こうに広がる景色は、まるで夢の世界。

劇場にも色んな所があるけど、ここは凄い。
入った瞬間から空気が違う。

「すっごっ」
『そう言えば大我は初めてなんだっけ？』
「ここは初めて。小さい頃宝塚には行った事あるよ」
『そうなんだ。その時のこと覚えてる？』
「申し訳ないけど、全くなんだよね」
『じゃあ初宝塚だ(笑)』
「そうなる(笑)」

劇場内へ入る前に差し入れを受付で渡して
その後は、Aさんが劇場を案内してくれた。

「これさっきのトートバッグだ」
『グッズだね、雪組さんの』
「えっと、、早霧さん？」
『そうそう！』
「ボールペンにハンカチ、、色々あるんだね」
『大我もグッズとかあるんじゃない？』
「いや、ここまでないかな」
『そうなんだ』
「まだグループ単独のライブとかないし」
『するようになったら、作っちゃえ(笑)』
「ふは、そうだね。そうする(笑)』

一瞬、マイナス思考に落ちかけた所を
簡単に吹き飛ばしてくれたAさん。

"するようになったら、作っちゃえ"

叶うかどうかよりも、その言葉が凄く嬉しかった。

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こうして、時間通り幕が上がり舞台がスタート。

一幕の演目、星逢一夜。

時は江戸中期、徳川吉宗の治世。とある藩で起きた叛乱を背景に、藩主の子息、天野晴興と身分なき娘、泉の恋を、烈しく哀切に描きだす。

想像以上に面白い宝塚の世界。
お芝居の時間はエリザベートの半分ぐらいだけど
丁寧に描かれていて、序盤から作品の世界観に飲み込まれた。

春興、泉、源太の三角関係。

切ない物語に観客席からは啜り泣く声が。

『うぅっ』
「(泣いてるっ・・・)」

一幕が終わり、幕間。

啜り泣きと言うより号泣だったAさん。
その姿が面白くて笑ってしまう。