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第五十一話 ページ1






【エリザベート 大千穐楽】



スケジュールの都合上、終演後に帝劇へ向かった俺は
楽屋口の人の多さにまず驚いた。

千穐楽も凄かったけど大楽はそれ以上。
各キャストさん達の関係者、家族、招待客。

舞台関係者、スポンサー関係者など
ここまで来ると誰が誰か分からない。


一旦どこかで待機するか、もしくはここで大人しく待つか。

いや、もう手遅れ??

ここは誰かに助けを・・・

Aさんだ!!Aさんも来てるはず。



で、電話・・・出るかな。




♪♪♪♪


『もしもし』
「もしもしっ、Aさん?俺だけど」
『ごめん。よく聞こえないっ、ちょっと待ってね』


『聞こえる?』
「俺は聞こえるよ、Aさんは?』
『大丈夫!今聞こえた!それより今どこにいるの?』
「楽屋口入ったところ」
『もしかして動けない感じ?』
「動けないと言うより人が多くて」
『待ってて。迎えに行くから』





電話が切られて数分後・・・
ロビー側からAさんがやって来た。



『びっくりしたでしょ』
「千穐楽以上だわ、これ」
『うん。大楽は特別だから』


ロビーや暖簾が並ぶ廊下、差し入れコーナーまで
二日しか経ってないのに懐かしく感じる。


Aさんに対しても、、、そんな感じ。




『もうすぐ優君達も来るから一緒に小池先生に挨拶行こっか』
「うん。無事、入れたらいいけど」
『大丈夫。劇場側のロビーから入って来ると思う(笑)』
「裏技ね?」
『そうそう(笑)』



数分後、優君や育三郎さん達が到着。
皆で小池先生に挨拶とお礼に伺ってから
芳雄さん達の楽屋の階へ。


感謝を言葉にするのは簡単な様で難しい。

相手によって伝えたい思いが違うから
時々、言葉に詰まってしまったけれど
そんな俺にも皆さんは「ありがとう」と包み込んでくれた。





−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





場所を移し記念撮影の為、舞台上に大集合。
誰もいない観客席に、ここで感じたこれまでの日々が甦る。

鳴り止まない拍手が・・・聞こえて来そうだ。





ありがとう。


本当に、本当に・・・ありがとうございました。








またいつかこの舞台に立てますように。




そう願って。








第五十二話→



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作者名:しぃ | 作成日時:2023年10月6日 20時

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