他校の好きな人が烏野一色に染まるまで【西谷夕】

◇５１ トクベツな権利 ページ4

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むーっと可愛らしく頬を膨らませる孝支先輩に少しきゅんとした。かわいい。ほんとに男ですか。
でもそれと同時に「んな理不尽な」という声が聞こえて思わず頷きかける。




「この際全員名前呼びでいいんじゃないっすか」



絶望に染まっていく孝支先輩の顔なんて気にせず「それいいな」とか「おーっし！じゃあどんどん自己紹介進めんぞー！」といった声がちらほらと上がった。


「おのれ影山め...折角俺が頑張ったのに...！」
「？」



心底不思議に思っている顔で飛雄が首をかしげる。あからさまに落ち込む先輩を見ていられず飛雄に話し掛けた。


『名前呼びって、人によっては特別感感じるものだからさ......あんまり広めちゃ駄目だからね』
「ああ......成る程、分かった」



今飛雄が誰を思い浮かべたか分かってしまった。及川さんだ。あの人何かしら特別な権利、ってものを気にするタイプだからなあ。


名前呼び然り、態度然り。




「俺はノヤっさんの親友、田中龍之介だ！！！ポジションはウイングスパイカー！！よろしくな！！」


げ、元気だな...。勢いに圧倒されつつ『よろしくお願いします！』と返す。
すると何処か大地先輩に雰囲気が似た人が龍之介先輩の頭を叩いて一歩前に出てきた。


「煩いよな、ごめん。俺は縁下力、二年のウイングスパイカー。よろしく」
『あ、いや全然大丈夫ですよ！よろしくお願いします！』



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