第5話 ページ6
無事に円盤も書籍も手に入れ、帰路に着く。
帰ったら早速ウォークメンに取り入れて、明日の朝聴きながら登校しよう。店舗限定のステッカーはファイリングして…新刊はカバーかけなきゃ…
幸せが重なって、気分が良かったせいか油断していた。
「ちょっ…」
「え」
誰かとぶつかりよろけてしまった拍子に、CDの入っている袋を落としてしまった。
最悪。
謝ってすぐに立ち去ろう。
「すみませ」
「うっわ山崎!なにぶつかってんだよ!」
「山田がいきなり突進してくるからでしょ。…すみません、大丈夫ですか。」
二人の男性が目に入り、その一人が手を差し伸べてくる。
綺麗なホワイトヘアにくるくるとカーブをかかっている髪。透き通るアクアマリンの瞳。
ループタイに光る赤の石が反射し、胡利衣学園の生徒であることを物語っていた。
「大丈夫です。こちらこそ不注意でした。すみません。」
足元を見ると、黄色のショッパーが二つ落ちていた。
片方を拾い上げ、中身を確認するとどうやら自分のほうらしかった。
「中、平気でしたか。」
「はい。ありがとうございます。」
お礼を告げ、別れの意味を込めて礼をする。
何故だか、離れなきゃいけないような気がした。
美形によく会う日だな。でも、ただそれだけだ。
そう言い聞かせて、プラットホームの端を目指した。
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作者名:白坂翠 | 作成日時:2020年10月26日 2時