第１幕 ページ3
私が綾薙学園を訪れることになったのは桜が満開に咲く春の出来事である。
玲李「綾薙学園？」
生徒が一斉に帰る放課後、教室で雑誌を読んでいたところをチームメイトである城山芹の言葉に、私は聞き返した。
芹は私が中等部時代からの友人であり、当初所属していた演劇部の仲間である。
彼はドカッと勢いよく私の前の席に座る。
城山「そ。知らない？」
玲李「知らないわけないよ、兄貴が卒業した高校だもの。」
「綾薙学園」
その学校は、音楽芸能分野で特に有名な名門校の一つである。
毎年、その学校の卒業生から将来が有望なミュージカル俳優を生み出していると噂が広がっているのだ。
最も代表的なのは、私が通っていた綾薙学園中等部でも伝説を残している『ミュージカル界のプリンス』と呼ばれている「月皇遥斗」。
彼は綾薙学園在学中、ブロードウェイデビューを果たしているほど今注目を集めている俳優だ。
そんな月皇遥斗の話を、同じ綾薙学園出身である兄からよく聞かされていた。
玲李「で、その綾薙学園がどうかしたの？」
城山「まあ、面白い話というか…その学校に通っている友達からネタになる話を聞いたんだ。」
玲李「…面白い話？」
すると、芹は携帯をブレザーのポケットから取り出し画面を私に向けた。
玲李「えーと…何これ？」
城山「綾薙学園の生徒が運営しているコミュニティーサイト。友達から教えてもらった。」
玲李「へえ、綾薙にそんなサイトがあるんだ。」
私は芹の携帯に映し出されているサイトをスクロールさせる。
そのサイトには、綾薙学園の生徒たちの会話が表示されていた。
すると、私はある文字に目を付ける。
玲李「ミュージカル学科入科オーディション…。」
城山「ああ、それか。この間、入学式の日にミュージカル学科候補生の入科試験があったらしい。」
玲李「その日に？」
城山「その日にな。」
どうやら私は、綾薙学園を甘く見ていたようだ。
もしミュージカル学科を何も知らないで受ける生徒が、万全な準備ができていない状態で当日試験を受けるってことになったら…と思うだけで恐ろしかった。
城山「綾薙も厳しいよな。俺ら声楽科も厳しいが、そんなものではないというのが伝わってくる。」
玲李「うん、生半可な気持ちじゃきっと…。」
サイトに掲載されている入科オーディションの様子の写真を眺めていると、ある人物に目が止まった。
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トキヤlove - 倉野柚稀さん» こんにちは 返信ありがとうございます。検討中ってことは、更新が近いってことですか？楽しみに待ってます。 (2017年8月3日 18時) (
レス) id: e59d869c74 (このIDを非表示/違反報告)
倉野柚稀(プロフ) - トキヤloveさん» こんにちは！応援ありがとうございます(*^^*)Freeの更新再開も現在検討中なのでそれまでお待ちください！ (2017年8月3日 16時) (レス) id: 14d16b7a38 (このIDを非表示/違反報告)
トキヤlove - はじめましてトキヤloveと言います。続きが気になります。free!も更新再開楽しみに待ってます。頑張って下さい。 (2017年8月2日 23時) (レス) id: e59d869c74 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：倉野柚稀 | 作成日時：2017年6月26日 1時
