君の声が聴きたい② (ページ7)

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静寂ページ7

ユキちゃんと叔母さんと別れたあと、彼女の吹奏楽部に所属している友人の発表を観に行く。

発表が終わり、自分のシフトの時間になるので、彼女が友人と合流した後、自転車部の方へ向かった。

(完全にバレッタ渡しそびれたわ、これいつ渡すん。)

悩んでいる間に教室に着いた。

石『お、おかえり御堂筋。どや、楽しかったか？』

『なんだってええやろ』

もうクンつけろというのは諦めた。

石『せっかくなんやから楽しんだらええのに、そうや、なんかプレゼントとかしたらどうや？手芸部のアクセサリーとかえらいよかったで、ええ思い出になるやろ！』

内心ドキりとした。石垣クンは意外と鋭い。そして思考回路が被ったことを嫌だと思った。
だがこれは渡しそびれたプレゼントを渡す方法がわかるかもしれない。

『プレゼントなんて贈ってどうするん。
それに渡すタイミングとか合わなかったらもうダメやないか。』

さりげなーく聞いてみる。

石『あー、タイミングな。確かに難しいよな～。渡しそびれたらもうなんか渡すに渡せないな。どっか2人っきりになった時になんとなく渡せばいいんじゃないか？』

『えらい、ふわっふわやな。』

(石垣クンに期待したのがアホやった。コイツも天然タラシだから、だめや。)

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そうして、プレゼントを渡せないまま、2日間の文化祭が終わった。

(もう後夜祭の時しかないやないか。)

後夜祭。ウチの学校ではカラオケやら告白大会やら、生徒が考えた企画を行う。
全校生徒が集まるから、まず2人きりにはなれない。

(ユキちゃんにでもあげよか)

と半ば諦めていた。
そして、後夜祭が始まった。

(はぁ、めんどくさ)

文化祭の熱が抜けきらない浮ついた空気に耐えられず、体育館を抜け出した。

ひんやりとする廊下を歩く。
校内の電気は体育館と職員室以外はついていない為、真っ暗だった。

教室にたどり着き中へ入る。
席にじっと座っているのも嫌で、ベランダに出る。
校内と同じく外は真っ暗であるのは月の明かりとほんの少しの街頭だけ。
夏の蒸し暑さは既になくなり、秋が近づいていた。涼しく過ごしやすい季節だ。

文化祭で彼女といる時間は楽しかった。
楽しい時間はあっという間というが、まさしくそうだった。
彼女に渡そうと買ったバレッタはポケットの中で静かにしている。

後夜祭が終わるまでここにいようと思った直後、教室のドアが開いた。

そこには後夜祭で体育館にいるはずの、あの子だった。