君の声が聴きたい② (ページ6)

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思わぬ収穫ページ6

『翔にぃちゃんもっと屈んでや！あともっとAさんに寄って！ユキが入りきらんやろ』

『なんでボクが真ん中なん。』

『細かいことは気にしない！』

ユキちゃんの押しの強さは手に負えない。
諦めて言われるがままでいたら、彼女がクスクスと笑っていた。

『じゃぁ、撮るよ～、翔くん、こっち向いて。はいち～ず』

シャッターを切る瞬間、彼女の腰を掴みグイッと引き寄せた。

撮れた写真を見せてもらうと彼女はまぁ、真っ赤なこと。

『プププ、キミ、めっちゃ真っ赤やねぇ。茹で蛸みたいやよ。』

拗ねたような顔でこちらを見つめてくる。

『ボクが困ってるん見て、笑っとるからいけないんやで』

そういうと、携帯に文字を打ち始めた。
ぴろんという音と共にメッセージが飛んでくる。

『仲良さげだったから微笑ましかっただけです～』

『微笑ましいって、誰目線やねん』

『私は兄弟いないから、羨ましいのそういうの。』

『別に本当の兄妹やないで』

言葉に出すのはなんだか気まずかったのでメッセージを送る。

驚いた顔でこちらを見つめたあと

『無神経でごめんなさい、でも血の繋がりはなくても御堂筋くんたちは兄妹で家族だよ』

(家族か。その辺は別に気にしてへんのやけど。)

『別になんとも思ってへんよ。キミいつも変な顔しとんのに、今普段以上に変な顔してるで』

今度は口に出して言った。
彼女の両頬をむぎゅっと摘んだ。
その顔が面白くて可愛くて

『めっちゃ面白い顔してはるね』

頬から手を離したあと、彼女は笑った。

カシャッ

急なシャッター音に驚いて振り向く。

『めっちゃ、綺麗に撮れたで！』

ユキちゃんがドヤ顔をしていた。

『いや。何勝手に撮ってるん』

『ええやん、別に減るもんやないし、それに！』

そう言ってユキちゃんは彼女を引っ張り少し離れて話をし始めた。

彼女の顔はキラキラしていた。

『なにしとんのや。』

『翔くん、Aちゃんと仲が良いのね』

そう叔母さんに言われた。

『ん、まぁ、部活同じやから。』

『ふふ、そう。今自転車楽しい？』

『楽しいで。すごく』

『翔にぃちゃん！』

ユキちゃんに呼ばれそばに寄り、少し屈む。耳元でユキちゃんが

『Aさんの写真送っといたで！』

そう言われて携帯を確認する。

そこには、先程2人で撮られた写真とは別に、もう一枚。

『おおきに』

お礼を言って再度写真に目を落とす。

(これは、なんというか思わぬ収穫やな。)

そこには可愛く微笑む彼女が1人写っていた。