メイズ９ ページ10
『…ニュート…ベンは……』
長い沈黙が続く。
ニュ「…今日の夕方だ。」
『そう…わかった。じゃあ準備してくるね…』
私は準備のため、その場を離れた。
バッグに衣類や食料を詰める。
普通に出来ることなのに…
この時だけは本当に苦しくなる。
夕方になり…男の子達が棒を持ち
迷路の扉の前へと立っていた。
それを少し後ろから、チャックが見ている。
するとミンホがベンを連れて、こちらへ来た。
ベンを真ん中に座らせると縛っていた縄を解く。
そして…アルビーと目が合った…。
ゆっくりと頷き…私は…
さっき詰めた荷物を迷路の中へと放った。
その瞬間…
ｶﾞｺﾝｯ…
迷路の入口が閉じる合図がなった。
それと同時にアルビーの声が響く…
アル「構えーーーっ！」
男の子達が一斉に、ベンへと棒を向けた。
アル「進めっ！！！」
ベン「やめてくれ…嫌だやめてくれ！よくなるから！頼む！！！」
ベンは抵抗しようと、みんなの棒を振り払う。
だけどそんな抵抗も虚しく
どんどん扉の中へと押し込まれていく…
アル「押し込め！」
『っ……』
ベン「なぁ頼む…！やめてくれ！！！」
壁が閉まる直前に、ベンは扉の向こう側へ…
ｶﾞｼｬﾝｯ…
壁が完全に閉まってしまった。
少しの間が空いて…
アル「もう仲間ではない。」
その言葉は…私たちに重くのしかかった…
ニュ「A…行くぞ。」
『うん…っ…』
私は少し泣きそうになった。
そんな私を気遣ってなのか…
ニュートは優しく頭を撫でてくれた。
その夜…
ギャリーが壁に刻まれた''ベン''の名前を
消す音だけがただ虚しく響いていた…
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作者名：こたゆの | 作成日時：2019年1月31日 5時
